活動報告
ACTIVITY
都議会報告
平成22年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 検視と監察医制度について
一 検視と監察医制度について
我が国における監察医業務の始まりは、昭和21年4月1日、東京大学医学部及び慶應義塾大学医学部の法医学・病理学の両教室に委嘱してアメリカのメディカル・エグザミナー制度にならった変死体の検案・解剖業務を開始したことによる。
昭和23年3月21日には、独立した施設として文京区大塚に東京都監察医務院が開設され、大学への委託を廃止して専任の監察医を配置するに至った。
また、東京都の区部は、監察医制度が施行されているが、多摩・島しょ地区は施行されていない。同じ都民として異状死の取り扱いに差があるのは不公平であることから、昭和53年10月から、東京都の費用負担の下、検案については東京都医師会に、解剖については東京慈恵会医科大学と杏林大学にそれぞれ委託して、行政解剖に準じた形で承諾解剖が行われている。
さて、東京都において、我が国初の監察医業務が開始されてから既に64年が経過したが、その間の我が国監察医制度の歩みは、必ずしも平たんなものではなかったようである。福永龍繁・東京都監察医務院長は、その間の経緯について「監察医制度がまず7都市(東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、京都市、神戸市、福岡市)に設置されたのは、日本全人口の3分の1が都市に集中しているためであり、この死因調査制度が日本に根付けば、きっと全国的に広がるという期待があったはずである。しかしながら、厚生省の予算が絶たれた。
監察医の定年を機会に廃止されたところが多く、地方自治体の理解が得られず、廃止、縮小に至ったものと思われる。その原因は、国も地方自治体も監察医制度の重要性の認識に乏しく、更にそれを維持すべきであった医学者が継続の努力を怠ったことである。即ち、国も地方自治体も、法医学者も皆、易きに流れたと言わざるを得ない。」と述べている。
日本では司法解剖の予算が決められており、2005年では5000体分3億4千万円、毎年決定された数字に合わせて解剖されているように思える。(警察法施行令第2条第4項に基づき国庫から支弁される。)
さて、解剖率の低さの背景には、行政解剖のできる監察医制度を持つのが、政令で東京23区、横浜、名古屋、大阪、神戸の4市に限られていることがある。承諾解剖では、身内の遺体を傷つけることに遺族が拒否反応を示すことが多い。費用面でも、国費で賄われる司法解剖に対し、行政・承諾解剖は都道府県か遺族の負担となり、05年に10体以下しか行われなかったのは27道県に上る。
警視庁と厚生労働省のまとめによると、2005年の死因不明遺体は、知事の判断による行政解剖や、遺族の了承を得ての承諾解剖(準行政解剖または準司法解剖)が行える司法解剖は4942体、行政・承諾解剖は8628体、解剖数は1万3570体であった。(日本の統計では交通事故死などは除かれている)
北欧を含む先進国は、日本と同じく検視を得て解剖し、解剖率は20~100%と高い。1998年の病理解剖を含む統計は、変死体の解剖率、ハンガリー49%、スエーデン37%、フィンランド36%、イギリス24%、アメリカ12%、ドイツ8%、日本はわずか4%であった。また、我が国は地域格差も大きく、神奈川県の解剖率は29.3%だが、鹿児島県は0.9%にとどまっている。
さて、最近の死亡形態は、病死又は自殺を偽装した事件が全国的に増加傾向を示し、加えて、高齢化社会を反映した独居老人の急死、乳幼児の突然死及び成人の過労死が発生するなど変化している。この種事案は、死体の検死又は見分けによる外表所見のみでは死因の判断が難しく、かつ、司法解剖の要件を充足しないため解剖できないものが多く、死体の適正な取り扱いのためには解剖による死因究明を行う必要があり、この傾向は今後ますます高まることが予想される。
警察が取り扱う「異状死」「異常死」は2008年で約16万体、検視官が現場に立ち会うケースは14.1%、解剖率は9.7%。
解剖医の不足が原因で、2000年に保険金殺人を目的で、強い酒を飲まされた男性が殺害され解剖されないまま病死とされ、のちに被告の一人が上申書で告白するまで事件が発覚しなかった事件。大相撲の時津部屋の序の口力士、斉藤俊(たかし)さん(当時17歳)=しこ名・時太山の急死を巡り愛知県警の検視ミスが指摘されている事件。
東京都豊島区の無職女(35)と交際していた男性らが相次いで不審死した、この事件では、東京都青梅市の男性(当時53歳)が解剖されないまま「自殺」と判断された、これらの事件は記憶にまだ新しい。
民主党の細川律夫衆院議員は、「死因究明解決には、新たな死因究明制度の構築が不可欠だ」と指摘している、
警察庁は「犯罪死を見逃しかねない」と指摘されている現在の検視体制など死因究明制度を強化し、欧米に比べ遅れていた制度の改革に向けた作業が本格化させ、死者の尊厳と、生きている者のより良い生のため、我が国の検死制度の抜本的な改革、構築が必要であるとしている。
1 我が国の死因究明制度には、刑事司法上のものと、公衆衛生上のものとがある。両者について、概要を示せ。
2 警察に一元的に集められた異状死体に関する情報は、犯罪の嫌疑の観点から、犯罪死体、変死体、非犯罪死体に分類される。このスクリーニングを行うのは司法警察員であり、医師はここでは介入しない。現場の警察官による判別の正確性をどのように担保するのか伺う。
3 異状死体の検視の主体は司法警察員である。一方、監察医制度施行地域では、死体解剖保存法により検案を行うのは、監察医である。それ以外の地域では、法医学の専門でない医師が検案を実施している。そこで、検案の正確性をどのように担保するのか伺う。
4 全国でも法医学の専門医が少なく、マンパワー不足が否めません。その結果、解剖率は先進国で最下位であり、日本は死因究明後進国といわれている。検案を行う医師の専門的な知識・能力を高めることも必要であるが、解剖を行えるような法医学専門医の養成は容易ではない。
先日、厚生労働省の研究班において、死因究明にCTなどを活用した「死後画像診断」を導入することにより、解剖の補助として有用性があるとの調査結果が発表され、新聞報道、ニュースなどで取り上げられている。
CTなどを活用した「死後画像診断」を導入することは、解剖の必要性を判断する材料が得られると思う。都としても死後画像診断を導入すべきと考えるがいかがか。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 検視と監察医制度について
1 我が国の死因究明制度には、刑事司法上のものと、公衆衛生上のものとがある。両者について、概要を伺う。
回答
刑事司法上の死因究明制度には、その死亡が犯罪によるかどうか明らかでない死体(変死体)について、刑事訴訟法第229条に基づく「検視」すなわち死亡が犯罪によるものかどうかを判断するために五官の作用により死体の状況を調べること、及び検視によっても死因の究明が困難な変死体について、刑事訴訟法第225条に基づく「司法解剖」により死因の究明を行うことの二つの方法があります。
次に、公衆衛生上の死因究明制度としては、死体解剖保存法に基づき、監察医制度施行地域においては、伝染病、中毒又は災害により死亡した疑いのある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医に検案をさせ、検案によっても死因の判明しない場合には、遺族の承諾がなくても解剖をさせることができることになっており、東京都23区においては監察医務院を設置して検案・解剖を行っています。また、監察医制度施行地域でない多摩・島しょ地域においては、「多摩・島しょ地域監察医務業務実施要綱」に基づき、検案業務を実施し、検案によっても死因が判明しない場合には、遺族の承諾を得て解剖を行っています。
質問事項
一の2 異状死体に関する情報の分類は司法警察員が行っており、医師の介入がないが、現場の警察官による判別の正確性をどのように担保するのか伺う。
回答
警察官による死体の判別を正確に行うために、大学の法医学教室等で法医学の知識を修得した警部以上の検視官を鑑識課に配置し、すべての死体取扱時の観察結果を報告させることにより、警察署における検視をチェックしています。そして、観察結果から専門官による検視が必要と判断したものについては、検視官が臨場して検視を行い、その際には、ポータブルX線撮影装置、ポータブル超音波画像診断装置等の資機材を活用して検視の正確性を担保しています。
また、警察署の各級捜査幹部に対しては検視実務研修を実施し、検視実務能力の向上を図っています。
なお、すべての死体取扱時に医師の立会いを求めて、その助言を得ています。
質問事項
一の3 異状死体の検視の主体は司法警察員である一方、監察医制度施行地域では監察医が検案を行い、それ以外の地域では、法医学の専門でない医師が検案を実施している。そこで、検案の正確性をどのように担保するのか伺う。
回答
監察医制度施行地域以外の多摩・島しょ地域においては、社団法人東京都医師会に検案業務を、東京慈恵医科大学と杏林大学に解剖業務を委託し実施しています。東京都監察医務院の検案と同水準の正確性を確保するため、東京都監察医務院において検案医の養成教育研修を実施しています。
質問事項
一の4 CTなどを活用した「死後画像診断」の導入により、解剖の必要性を判断する材料を得られる。都としても導入すべきと考えるが、見解を伺う。
回答
「死後画像診断」を導入することは、より的確な検案・解剖を行うための事前情報を得ることが期待でき、有用であると考えています。
現在、東京都監察医務院建替計画において、導入に向けた検討を行っています。
平成22年3月12日 予算特別委員会 総括質疑
1.自殺対策について
自殺対策について質問をさせていただきます。
先般のバンクーバー冬季オリンピックでは真央ちゃんや長島君たちの銀メダルに国中が大喝采を送りました。しかし残念なことに同じ銀メダルでも日本の自殺率はOECDやG8の中でも第2位という不名誉な銀メダルなのです。これはアメリカの2倍、イタリア・イギリスの3倍という数字です。昨年の自殺者数は32,753人、この数は交通事故死の約6倍にあたります。
死にたい奴は死なせておけばいい、それでいいのでしょうか。そんな悲しい現実を皆さんはどう思いますか。01年の世界保健機関であるWHOのジュネーブ会議では、自殺は防ぐことのできる死であり、「予防可能な公衆衛生上の問題である。」と定義づけられました。
日本でも00年に政府が「健康日本21」の中で、この問題に対する取り組みを開始し、06年に「自殺対策基本法」を制定。07年には「自殺総合対策大綱」を制定して、本格的に取り組んでいるものの、功を奏することなく毎年3万人以上という数がここ12年間続いている状態です。最近でも清瀬市内で2月15日中学2年の女子生徒(14)が自殺した事件は記憶に新しい所です。
自殺は日本経済と大きく連動しています。1956年の「なべ底不況」といわれた時に、第一のピークがあり、自殺者が2万3641人に達しました。それから約30年後の1985年の「オイルショックによる不況」といわれた年に第二のピークとして2千人多い2万5667人となり、1998年「バブル崩壊不況」に襲われ、第3のピークとして5千人多い3万1755人に達し、自殺は個人だけの問題にとどまらず、社会的な問題と言えます。
交通事故の場合では、1970年に史上最高の1万6765人が亡くなりました。そこで政府は交通事故死亡者を半減させる目標を掲げ、多くの予算をつけて交通指導員制度などの民間活力を導入して取り組んだ結果見事半減させることに成功しました。しかし、自殺防止対策については、なぜか自殺者20%減の目標しか掲げていません。
遅ればせながら私、石毛しげると申します。しげるは吉田茂の茂と書きます。この人物が私の茂と同じ字を書いて名字が『しげさん』という方です。この方は、福井県の東尋坊で自殺防止活動のボランティアをしています。新聞やテレビでよく見る方ですが、平成16年に42年間の警察生活の最後を福井県三国警察署副署長として終えた方です。
なぜ彼は、このボランティアをすることになったかというと、東尋坊で自殺をするために東京から来たという夫婦に出会い、地元の福祉課に引き継いだところ、他県の人ということで500円の交通費で追い返され、東京に向かって新潟県までの道のりを三日三晩野宿をしながら沿道にある7か所の行政機関の窓口を訪れましたが、どの役所からも同じように500円ほどの交通費を提供されただけで門前払いをされ、ついにこの夫婦は茂さんにお礼の手紙を出し、力尽きて新潟県内の神社の境内で首を吊って自殺したそうです。この事件をきっかけに茂さんは民間の手でもできる対策はないかと考え、私費を投じて東尋坊の水際にサポートセンターを設置し、仲間を募って現在71人の会員と共に活動に取り組むことになったのです。
法律上は、警察官職務執行法第3条、あるいは生活保護法第19条、刑法218条(保護責任者遺棄罪)に「その生存に必要な保護をしなかったときは三カ月以上五年以下の懲役に処すると明記されているにもかかわらず、現実の行政は「見ざる」「言わざる」「聞かざる」とばかりに現状から目をそらし、次の自殺者が続くかもしれない状況も手つかずで放置されています。
内閣府自殺対策推進室発行の自殺総合対策大綱のパンフレットには、国民一人一人が自殺対策の主役です。と記されております。平成28年までに基準年である平成17年の自殺死亡率を20%以上減少させることを目標とすると、うたっていますが、全国的に自殺者が減らない深刻な状況が続いています。これは東京都においても同様の状況であります。都としてこれまで対策をとってきたものと思いますが、今後は少し視点を変えて対策を講じる必要があると考えます。
そこで、これまで都は自殺対策としてどのような取り組みをしてきたか伺います。
こちらのパネルをご覧ください。平成20年度警視庁のデータに基づき自殺者数を年齢別に分けたものと自殺の原因、動機別に分けたもの2種類作成しました。これによれば男性の自殺者数が女性の2倍近くになっており、原因動機別でもほとんどの問題で男性の自殺者数が女性の自殺者数を上回っていることがよくわかります。この理由は性差の違いが根本的にあるのかもしれませんが、例えばDVの被害者となった女性には避難場所として「女性相談室」があるなど女性の場合は国の保護政策がある程度行き届いているからではないでしょうか。自殺者の七割以上を男性が占めているというデータもあります。ホームレスが日本に二万五千人(平成15年調査)以上いると発表されていますが、こちらも八割以上を男性が占めると言われています。
私の手元には、対前年自殺者増減数上位5県というデータがございますが、これによれば平成20年と平成21年の比較で東京は大坂に次いで2番目に自殺者数が増加しております。
さて、この写真ですが、私は先月26日にこの東尋坊に足を運びました。その日の朝、自殺しようとしたこの方、神奈川県のAさん、リストカットして失敗しました。背中で写ってますが、表から見ると首には首つり自殺したときのロープの跡がくっきりと傷となって残っていました。幸いにも一命は取り留めて保護され、二度と自殺はしない、と約束しました。この東尋坊では10年間に253人もの人が死んでおり、まさに2週間に一人の割合であります。
こちらの写真もご覧下さい。1.4キロある長い海岸沿いですが、自殺を試みる場所はなぜか3か所あります。ひとつがこの『大池』、もうひとつが『松の下』という地名のところで、ろうそくが立っているように見える『ろうそく岩』。この3か所で飛び込みます。飛び込む方は、「ここでどうぞ」と書かれているわけでもないのに、どういうわけかここに集約されます。ちなみに「自殺の名所」と呼ばれている場所は、古くからは錦ヶ浦、足摺岬、華厳の滝、三原山、高島平の高層ビル街とよく言われます。アメリカではゴールデンゲイトブリッジが世界一の自殺の名所といわれ年間20人前後の人がここで命を落とすということです。それも不思議なことに橋は片方が海側、もう片方は町が見える側になっており自殺をする人はほとんど全員町の見える側の方に飛び込むと聞いてます。最後の最後やはり人とのつながりを求める気持ちがそうさせるのでしょうか。
又、鉄道の駅も飛び込み自殺が頻発している場所であります。JR東日本は昨年の秋、山手線全29駅のホームに青色LED(発光ダイオード)照明を設置しました。人の心を落ち着かせるとされる青色で、飛び込み自殺を防ぐ狙いだそうですが、全国で導入が広がっています。また恵比寿駅や都営地下鉄でもホームドアの増設で飛び込み自殺の防止に取り組んでいることを承知しています。
しかしながら、国土交通省の調査(2008年度)によりますと、全国の駅で381人が死亡、うち自殺が355件で、ほぼ毎日一人ずつが駅での自殺を選んだ計算となります。首都圏38の路線別に集計したところ、死亡者数トップはJR中央線の21人、うち20人が自殺となっております。東京と高尾を結ぶ32駅のうち15駅で死亡者が出ており、とくに高円寺から豊田の間に集中しています。なお過去3年間で自殺件数の多い駅は1位 中央線 新宿駅 8件、2位 中央線 荻窪駅 7件、3位 山手線 恵比寿駅 6件となっております。しかし原因別の集計の概要欄をよく読んでみると自殺としか思えないケースでも、「線路内立ち入り」「ホームから転落」に分類されているケースが見られ、「事故」扱いになっている可能性があり実態数はもっと多いと思われます。又、中には飛び込まれた時の運転手はパニック症候群になり運転手自身が自殺に追い込まれる方がおり、加害者が被害者になってしまうという皮肉な結果を招くことがあります。経済的な観点からも、私たちの生活の足という観点からも大きな損失を被ります。余談ではありますが自殺者増しに伴い保険会社の保険金支払い総額が1.5倍となり、今まで免責期間が1年であったのがここにきて3年に延ばさざるを得ない状況になっているそうです。
そこで、都は自殺予防にいろいろと取り組んでいるが、残念ながら自殺者は減っていない。自殺予防の重要性についてどのように認識しているか。
自殺をしようとしている人を見つけ声をかけ保護し継続的な支援を行う取り組みはひとつの方策として非常に効果的と感じます。都においても自殺を考える人が集まるところ、例えば鉄道のホーム等自殺リスクの高い場所に監視員を置き、自殺する人を見つけ保護し再生につなげる事業を実施するなど、予算の使い方に濃淡をつけることが必要であると考えます。平成22年度 自殺総合対策として「未然防止策費」として17,822千円、「危機介入策費」として120,838千円、「事後対応策費」として2,045千円、「その他」として123,000千円を予算計上していることは承知しておりますが、
都においても、区市町村単位で自殺のデータを分析することなどにより地域特性を踏まえた取り組みを重点的に行うことが必要と考えるがどうか。例えば蒲田警察署の管内ではの自殺者数が56人、板橋警察署の管内では53人、城東警察署の管内では65人となっており50人以上の自殺者が発生している地域を割り出すことは十分可能ではないでしょうか。
対策の効果を上げるためには地域の実情に応じた取り組みを行うことは大変重要であります。その際に念頭におく必要のあることは電車のホームにホームドアを設置する等、物理的に飛び込めない状況を作っても自殺を考える人はその後他の場所に行き自殺をしてしまう危険性が高いということです。よってその場で自殺を防ぐだけではなくその人が独り歩きできるまで継続してサポートをするという視点が必要であります。今後はこのようなハイリスク者への個別のアプローチを行うためさまざまな分野の人がチームを作りワンストップサービスができるような対応をすることも必要と考えます。
そこで、区市町村への働きかけだけではなく、民間の事業者やNPO団体とも連携して自殺対策を進めていく必要があると考えるがいかがか。
自殺対策は行政だけではなく、民間の活力も生かし官民一体となって取り組むべき重く、深く、長い時間のかかる問題ではありますが、1日でも早い取り組みが1日90人以上亡くなっている現状の改善につながる可能性があります。先月中央線高円寺駅でホームから転落した女性を救出した青年が消防庁やJR東日本から感謝状を贈られたというニュースはまだ記憶に新しいと思いますが、人命救助者に対しては表彰があるのに東尋坊の茂さん達のようにボランティアで大勢の人命救助をしている個人や団体にもクローズアップしてあげる機会があったら活動にも励みになることと思います。また、私の経験上、残された遺族の方は全員といっていいほど、本人の自殺のサインを見逃したという自責の念に一生苦しみ、精神的にも経済的にも追い詰められることも付け加えさせていただきます。
少し古いデータではありますが、1997年2月2日の日経新聞には、「うまれなければよかったと思うことがあるか」との質問には「よくある」「時々ある」と答えたのは小学3年生で34%、5年生で35%、中学3年生で38%に上ったとの記事がありました。実に3人に1人が自殺予備軍といっても過言ではありません。自殺対策としては現在自殺を考えている人への対応とともに長期的な視点で、将来の予備軍ともなりうる子供たちへ小さい頃から命の大切さを教えていくことが非常に重要であると考えます。ここに力点を置くことが今後の自殺対策に寄与することになるものと考えます。先ほどの答弁にもあったように今後様々な分野との連携を一層強化し自殺対策を推進してもらいたい。このことを要望し、最後に自殺で命を落とされた方々に哀悼の意を表するとともに心よりご冥福をお祈りさせていただき、自殺対策についての質問を終わらせて頂きます。
2.都立霊園墓地について
2007年3月に起きた能登半島地震では石川県輪島市で石灯籠が倒れ、頭を打った女性が死亡しました。一般的には和型の墓石は震度6弱で上部の石が大きくくずれ、震度6強以上になると転倒したり石が飛び跳ねると言われてます。
そこで昨今小中学校の耐震化は進んでいますが、墓石の耐震化によって倒壊を防ぐ必要があると考えるが、都はどのように考えるか。
高齢化、核家族化の進展など社会経済情勢が変化するなか、都民の墓地に対する需要はますます高まっています。都民が安心して利用できる墓地として、都立霊園の果たす役割は大きいものがあります。都はこれまで、限られた土地を有効活用し、多くの遺骨を埋蔵できる、集合型の合葬式や立体式の墓地を供給し、都民の支持を得てきています。このように、都民ニーズをしっかり受け止め、都民が求める墓地の供給について、創意工夫することはこれからも必要であります。
そこで、まず、都立霊園における平成21年度の申込状況について伺います。一般墓地や芝生墓地といった平面墓地の倍率は、12.1倍と、高倍率となっており、少しでも供給を増やすことが必要です。現在、都が、青山霊園と谷中霊園で再生事業を進め、一般墓地も供給していることは、意義のあることです。
青山霊園、谷中霊園の再生事業における墓地供給の実績について伺います。又、再生事業ですがお墓の管理費を滞納して5年くらい新聞に告知する必要があると聞いてますが、再生まで実際どのくらいの時間がかかるのか伺います。
再生事業により、一般墓地を520箇所供給してきたことは評価できます。今後も新たな墓地供給を継続するため、墓地の返還や移転、無縁となった墓所の整理により、再生事業を促進していただきたいと考えます。また、一般墓地の供給を少しでも増やすため、他の霊園においても無縁となった墓所の整理をさらに迅速化すべきと考えます。その一つの考え方に和墓・洋墓があります。和墓についてはいわゆる昔風の墓で、洋墓は石が一つだったり芝生の上に作ったりしています。特に和墓は○○家先祖代々の墓という形式のものが多いわけですが洋墓の場合は愛とか夢とか慈悲とか抽象的な文字が刻まれていることが多いようです。姓の違う家族も入ることができ、墓不足に役に立つのではないでしょうか。
一方、多様化する都民のニーズに応え、多様な形態の墓地を供給することも大切です。
死後は自然に還りたいという思いに応えるために、都では、樹林墓地、樹木墓地の検討を進めていると聞いています。樹林葬の歴史はまだ日本では浅いようです。発祥の地は岩手県一関ですが、イギリス・ドイツ・アメリカ、お隣の韓国などがよく知られています。
これも、限られた土地を有効に活用する創意工夫の一つと考えます。
樹林墓地、樹木墓地を早期に実現することが重要と考えますが、現在の取り組み状況を伺います。
都立霊園の応募者の多くが樹林墓地、樹木墓地に期待しているとのことですが、自然に還るといった新たな形式の墓地を東京都が始めるということは、非常に有意義なことであります。樹林墓地、樹木墓地の早期の実現に向けて積極的に取組んでいただきたい。
平成21年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 周産期医療について
一 周産期医療について
周産期医療は、今や地域医療システムとして円滑に動かなければ崩壊してしまう危機的な状況にある。産科診療所では医師の高齢化や訴訟問題の増加、勤務医にではおいては、劣悪な労働環境などで医師不足が起きている、また看護師、助産師なども同様であり衰退の一途をたどっている。そのことによって、一次医療機関で対応できるはず正常分娩の妊婦が二次、三次に殺到し、高次医療の機能が破綻すると事態に至っている。
二次、三次が機能しなければ、一次医療機関がリスクを常にはらんでいる分娩を扱うことはできない。二次、三次の機能は勿論であるが、地域周産期医療システムを維持するための必須条件として、一次を担う産科診療所や助産所の存続と、緊急の対応できるスーパー総合周産期母子医療センターなどの連携が重要である。こうした周産期医療が1日も早くも安心、安全な環境を構築することが求められる。
1 周産期医療の緊急対策である、24時間常時受け入れ態勢を整えた「スーパー総合周産期センター」の設置、東京消防庁内への周産期搬送コーディネーターの配置の二点について、その内容を伺う。
2 周産期医療の母体搬送に関して、3ヶ所有るスーパー総合周産期センターとその他の総合周産期母子医療センターとの違いと、スーパー総合周産期センターへ搬送された母体の数及びどのような病状の妊婦が搬送されているのか伺う。
3 一般の救急医療機関と周産期救急それぞれの医療機関数と、これら二つの機能を備えた医療機関の数を伺う。
4 周産期母子医療センターへの母体・新生児の搬送件数及び搬送元について伺う。
5 周産期母子医療センターにおける経膣分娩と帝王切開の分娩数について伺う。
6 産婦人科医の使命は本来妊娠・出産にかかる病気、合併症を伴う出産に対応するものと考える。
周産期にかかる周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所のリスクに応じた役割分担について伺う。
7 都における看護師を養成する機関(都立、その他)、助産師を養成する機関の数はいくつか。平成21年3月に都立看護専門学校を卒業した者のうち、助産師コースへ進学した者はどれくらいいるのか、それぞれ伺う。
8 医師と助産師との割分担から、正常経過の分娩については、助産師を積極的に活用することで、産婦人科医の業務負担を軽減させることが可能である。都として助産師の活用についてどのように推進していくのか伺う。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 周産期医療について
1 周産期医療の緊急対策である、24時間常時受け入れ態勢を整えた「スーパー総合周産期センター」の設置、東京消防庁内への周産期搬送コーディネーターの配置の2点について、その内容を伺う。
回答
「スーパー総合周産期センター」は、総合周産期母子医療センターと救命救急センターが、密接な連携を取りながら、救命処置が必要な妊産褥婦をいつでも受け入れ、母体救命を行うものです。平成21年3月25日から運用を開始し、現在、都内に3か所指定しています。
周産期搬送コーディネーターは、総合周産期母子医療センターによる担当区域内での搬送調整が困難な場合に、都内全域を対象として受入先の調整を行うもので、平成21年8月31日から業務を開始しました。
質問事項
一の2 周産期医療の母体搬送に関して、3か所ある「スーパー総合周産期センター」とその他の総合周産期母子医療センターとの違いと、「スーパー総合周産期センター」へ搬送された母体の数及びどのような病状の妊婦が搬送されているのか伺う。
回答
総合周産期母子医療センターは、ハイリスクの妊産褥婦と新生児に対する高度な周産期医療を提供する医療機関です。
「スーパー総合周産期センター」は、こうした総合周産期母子医療センターとしての機能に加えて、救命救急センターとの連携により、脳出血などの緊急な母体の救命処置にも当たるもので、近くの救急医療機関等で受入れが決まらない場合には、必ず受入れを行います。
平成21年11月末までに、母体救命対応としての事案は29件あり、このうち、「スーパー総合周産期センター」で受け入れた件数は11件です。
また、搬送された妊産褥婦の主な病状は、脳血管障害やお産直後の出血性ショックなどがあげられます。
質問事項
一の3 一般の救急医療機関と周産期救急それぞれの医療機関数と、これら2つの機能を備えた医療機関の数を伺う。
回答
平成21年12月現在、東京都指定二次救急医療機関は256か所、周産期母子医療センターは23か所、このうち、これら2つの機能を備えた医療機関は21か所です。
質問事項
一の4 周産期母子医療センターへの母体・新生児の搬送件数及び搬送元について伺う。
回答
平成20年度における周産期母子医療センターの母体搬送受入件数は、1,558件です。
主な搬送元は、他の医療機関からが1,349件であり、自宅からが139件となっています。
新生児の搬送受入件数は1,412件で、その主な搬送元は、他の医療機関からが1,369件、自宅からが30件となっています。
質問事項
一の5 周産期母子医療センターにおける経膣分娩と帝王切開の分娩数について伺う。
回答
平成20年度に周産期母子医療センターで取り扱った経膣分娩は14,070件、帝王切開による分娩は5,871件です。うち、緊急帝王切開は2,580件です。
質問事項
一の6 産婦人科医の使命は本来、妊娠・出産にかかる病気、合併症を伴う出産に対応するものと考える。周産期にかかる周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所のリスクに応じた役割分担について伺う。
回答
周産期母子医療センターは、ハイリスクの妊娠・分娩及び高度な新生児医療に対応する、三次の医療機関としての役割を担っています。
周産期連携病院などの二次の医療機関は、緊急帝王切開も含めミドルリスクの妊娠・分娩に対応します。
ローリスクの妊娠・分娩は、一次医療機関が対応しますが、このうち助産所は正常分娩のみ対応します。
質問事項
一の7 都における看護師を養成する機関(都立、その他)、助産師を養成する機関の数はいくつか。平成21年3月に都立看護専門学校を卒業した者のうち、助産師コースへ進学した者はどれくらいいるのか、それぞれ伺う。
回答
看護師を養成する機関は、都立が首都大学東京を含めて8校、その他は66校です。助産師を養成する機関は、都立が首都大学東京の1校、その他は15校です。
平成21年3月に都立看護専門学校を卒業した者498名のうち、助産師受験資格取得のため進学した者は12名です。
質問事項
一の8 医師と助産師との役割分担から、正常経過の分娩については、助産師を積極的に活用することで、産婦人科医の業務負担を軽減させることが可能である。都として助産師の活用についてどのように推進していくのか伺う。
回答
都は、平成20年度から、周産期母子医療センター等の医療機関が院内助産所や助産師外来の設置を促進するよう、助産師の確保や施設整備などに対する支援を行っています。
また、院内助産所等の開設のノウハウなどに関する研修を実施しています。
平成21年第三回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 震災時における犬対策について
一 震災時における犬対策について
平成16年8月、文部科学省の地震調査研究推進本部地震調査委員会が南関東において、「平均間隔200~400年の関東地震クラスの今後30年以内における発生確率は最大で0.8%であるが、マグニチュード7程度(M6.7~7.2程度)の地震の発生確率は70%である。」との見解を発表している都民の生命、財産の安全を確保するための喫緊の課題が山積している。
都は平成18年12月に「10年後の東京」において「災害に強い都市をつくり、首都東京の信用力を高める」ことを、防災上重要な建築物や住宅の耐震について具体的な数値目標を掲げて策定した。平成19年3月には「東京耐震改修促進計画」19年5月には「東京都地域防災博」を策定した。
しかし、この「計画」の中には、今や家族の一員となっている動物に対しての視点が明記されていません。何時起きてもおかしくない関東の直下型の地震に備え、都は毎年秋に総合防災訓練を実施している。石原都知事は、先の訓練の講評で「自助、共助、公助」の大切さを述べている。
「備えあれば憂いなし」の言葉のように訓練を重ねることは重要である。地震直後被災された都民はすでに明らかになっている学校や公園など安全地帯を求め、自ら避難場所へと向かうことが想定される。都民一人ひとりの安全を確保することが第一であるが、その家族となっているペットについても同様である。地震直後のペット対策、とりわけ犬対策について伺う。
現在、都内で41万頭の犬が登録されている。しかし、ペットフード会社等ではその倍以上飼育されているという資料もある。どちらにせよ、不確定であると思うが、相当数の犬が飼育されていると想像できる。こうした犬が街中で野放しになったり、避難場所へ連れてこられたりすることが想定され、都民と動物の安全に関し、混乱が起こることが考えられる。
そこで、
1 都は地震直後の飼い犬に対し、どのような事態を想定し、どのような対策を考えているか。
2 「都の犬に対する考え方」を飼い主の避難時における行動指針にまとめ、周知徹底すべきと考えるが所見を伺う。
3 さらに、避難場所にすでに設置されている都市公園内のドッグランを一時的な活用を検討する考えはないか伺う。
4 災害発生時には、速やかに動物の保護、飼い主とはぐれた被災動物の円滑な救援が都民の安全確保のためにも重要である。避難が長期化した場合を想定して、他県との協力関係の構築も必要となろう。平常時から獣医師会、動物愛護団体、民間ボランティア等のネットワークを構築し、非常時に協力が得られる担保が求められる。所見を伺う。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 震災時における犬対策について
1 都は地震直後の飼い主に対し、どのような事態を想定し、どのような対策を考えているか伺う。
回答
発災後、飼い犬の多くは飼い主とともに避難することが見込まれますが、負傷したり、飼い主とはぐれたりした犬が生じることも想定されます。そのため、都は、「東京都地域防災計画」に基づき、発災直後から、「動物保護班」、「動物医療班」を編成し、被災住民への動物援護に関する情報の提供、被災動物の保護、搬送及び避難所等での獣医療を実施します。
また、避難所においては、区市町村と連携し、避難所での動物飼育状況の把握や獣医師の派遣、保護施設への動物の受入れや譲渡等の調整などを行います。
質問事項
一の2 「都の犬に対する考え方」を飼い主の避難時における行動指針にまとめ、周知徹底すべきと考えるが、所見を伺う。
回答
都では、飼い主の社会的責任の徹底のために作成した小冊子の中で、避難時には動物と一緒に避難することや、ケージでの飼養など避難所における他の避難者に対する配慮、えさやトイレ用品など動物用避難物品の備蓄、個体識別のための鑑札やマイクロチップの装着など、災害時の備えについて、周知徹底を図っています。
また、区市町村や地域の獣医師会と連携し、災害時における動物の保護体制や飼い主の注意事項について、普及啓発を行っています。
質問事項
一の3 避難場所にすでに設置されている都市公園内のドッグランの一時的な活用を検討する考えはないか、所見を伺う。
回答
発災後に保護された被災動物は、原則として、東京都獣医師会や動物関係団体が設置する「動物救援本部」が、都内に2箇所ある動物愛護相談センターを活用し、飼育管理を行うこととなります。
「動物救援本部」から、更なる保護施設の確保について要請があった場合には、都は、区市町村や関係機関と連携し、保護施設の確保に努めます。
質問事項
一の4 災害発生時には、速やかに動物の保護、飼い主とはぐれた被災動物の円滑な救援が都民の安全確保のためにも重要である。避難が長期化した場合を想定して、他県との協力関係の構築も必要となる。平常時から獣医師会、動物愛護団体、民間ボランティア等のネットワークを構築し、非常時に協力が得られる担保が求められるが、所見を伺う。
回答
都では、平成19年4月に策定した「東京都動物愛護管理推進計画」に基づき、災害による避難が長期化した場合に、飼い主不明の被災動物を新たな飼い主や一時預かりボランティアに円滑に引き継いでいくため、動物愛護団体や譲渡ボランティア、更には他県市とのネットワークの構築に向けて関係団体との調整を図っています。
平成21年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 献血の推進について
二 東京東部の海抜ゼロメートル地帯における高潮等の災害対策について
一 献血の推進について
輸血等に必要な血液製剤の供給は、国民の善意である献血によって支えられているのが現状です。人工的に製造することができない血液が、献血する人が減少することによって充分確保されない状況に至っています。
さて、昨年に起きた世界同時不況のあおりを日本も受け、その影は献血にも波及している。企業による献血は、献血の安定化を支えてきました。しかし、企業の工場の生産ラインの減少や正規社員、非正規社員の解雇、工場閉鎖などにより献血移動車での献血者の人数や献血が減少しています。
神奈川県では、血液が充分でなく東京に不足分を依頼している状況が出てきています。関東でも埼玉県や栃木県も神奈川県同様の厳しい事態であります。
日常の生活の中で私たちは、いつ事故や病気に遭遇するか判りません。今後、献血が減少していくと妊婦の出産時や事故などで、血液が充分でないという理由で断られる事態にもなりかねません。
献血の受け入れは、日本で唯一の献血事業者である『日本赤十字社』によって行われています。平成14年の献血者数は579万人(213万リットル)、平成15年 502万人(208万リットル)、平成16年 547万人(202万リットル)、17年 532万人(196万リットル)、18年 499万人(184万リットル)、19年 494万人(189万リットル)と、このように年を追うごとに献血者と献血量は減少の一途をたどっています。また、献血者数を年代別にみると、20代までの若年層の落ち込みが著しい状況にあります。厚生労働省が平成20年3月に公表した『若年層献血意識に関する調査』によると、献血の経験のない者のうち、「非常に関心がある」「関心がある」という回答をした人が45.8%で、「特に関心がない」「まったく関心がない」と回答した人は54.2%と、ほぼ同率となっている。
さて、今後少子高齢化の中、血液の消費に占める高齢者の割合が増えていくと考えられます。まず、若年層に安定的に需要を支えていく持続可能な血液の需給体制を構築していくことが必要であろうし、その若年層の複数回の献血を確保する体制も必要だと考えます。
1 都の献血に対する見解を伺う。
2 都の取り組み状況はどうなっているか伺う。
3 首都大学東京を含む、都内の大学での取り組みについてはどうか伺う。
4 都立高校での普及啓発や献血車の配置なども考えられないか伺う。
二 東京東部の海抜ゼロメートル地帯における高潮等の災害対策について
環境問題を語るときに、南太平洋に位置するツバルが海水面上昇による浸水被害に日常的に悩まされていることが報道される。島国である我が国にとっても、それはもはや対岸の火事とは言えないところまできている。
2008年5月に環境省から温暖化に伴う海水面の上昇が発表された。高潮による被害の予測では日本沿岸の海水面は今世紀末に1990年と比べ約38cm上昇し、この結果東京湾や伊勢湾、瀬戸内海などで浸水被害を受ける地域の面積が今世紀末に2000年と比べ2.9倍の5万8千ヘクタールに、同地域内で高潮の被害を受ける可能性のある人口が同年29万人から、137万人に増加すると指摘している。
また、海水面上昇と豪雨が多発することにより、地下水位が上昇し、地震の際に東京東部の海抜ゼロメートル地帯の液状化現象の危険性も増加するとしている。
さらに、我が国の沿岸で海水面が1メートル上昇したとすると砂浜の90.3%は消失し、その湾岸施設の対策に7.8兆円、海岸構造物の対策に3.6兆円が必要との試算が出されている。一方、国土交通省の試算では、1931年の室戸台風級の超大型台風が東京湾を襲えば、水門が閉鎖できないという最悪の場合を想定したとき東京都と神奈川県の港の周辺部で計約28兆8千億円の経済被害を受ける可能性があると指摘する。
東京湾、特に東京港は現在、世界や国内の主要港と外貿、内貿のネットワークによって結ばれ、日本の産業社会を支える重要な国際、国内物流拠点となっている。また、アジアでは海抜の低い沿岸地域に人口や資産が多く集中している国々が多いが、我が国でも海水面よりも低いゼロメートル地帯に、約200万人が居住し、54兆円の資産が集中している。これを標高1メートルまで拡大すると、人口約410万人、資産は109兆円となる。海水面が1メートル上昇したとすると、これらの人口と資産の被害が予想される。
1 これまでの東京東部の海抜ゼロメートル地帯の高潮水害対策について伺う。
2 今後、予想される海水面上昇による東京東部の海抜ゼロメートル地帯の水害に対する現状認識について伺う。
3 東京港における災害時の物流機能維持のための流入物対策について伺う。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 献血の推進について
1 都の献血に対する見解を伺う。
回答
血液製剤の安定供給を確保するためには、都民の献血への理解と協力が不可欠であり、若年層を含めた都民の献血意識の向上を図っていくことが重要であると考えています。
質問事項
一の2 献血の推進に関する都の取組状況について伺う。
回答
都は、毎年度策定する献血推進計画に基づき、採血事業者である日本赤十字社と連携し、献血キャンペーンを実施するなど、普及啓発の取組を行っています。
キャンペーンでは、都民に対し献血への協力を呼びかけるため、電車内へのポスターの掲出や屋外街頭ビジョンでのCM放映、「成人の日」式典でのリーフレットの配布等を行っています。
また、献血に積極的に協力した学校、事業所及び町会などに感謝状の贈呈を行うなど、地域、職域等において献血を推進する組織の育成を図っています。
質問事項
一の3 首都大学東京を含む、都内の大学での献血推進に向けた取組について伺う。
回答
都は、日本赤十字社と連携して、大学、企業などの団体における献血の推進を図っており、都内の大学については、平成19年度、79大学において、207回の献血を実施し、延べ約1万8千人の協力が得られました。
なお、首都大学東京においても、採血車による献血を5回実施し、延べ382人の協力が得られました。
質問事項
一の4 都立高校での献血の普及啓発や献血車の配置などについて、所見を伺う。
回答
都教育委員会は、献血に関する正しい知識の普及啓発のため、厚生労働省が作成した高校生用及び教員用テキストの全都立高校への配布に協力しています。
都立高校においては、奉仕体験活動として、献血ルームで献血受付などの補助を行ったり、文化祭に採血車を配置し、来校者等に献血を呼びかけるなど日本赤十字社の活動に協力している学校もあります。また、これらの学校の中には自主的に献血を行う生徒もいます。
今後とも、厚生労働省からのテキスト配布に協力するとともに、こうした取組を広く都立高校に紹介していきます。
質問事項
二 東京東部の海抜ゼロメートル地帯における高潮等の災害対策について
1 これまでの東京東部の海抜ゼロメートル地帯の高潮水害対策について伺う。
回答
都は、東京東部の海抜ゼロメートル地帯において、日本最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風級の台風が東京を襲った場合の高潮を想定し、防潮堤や水門等の整備を重点的に進めてきており、おおむね完了しています。
また、高潮のおそれがある場合は、東京都地域防災計画、東京都水防計画等に基づき、即応した配備体制をとるとともに、水門等の操作を確実に実施しています。
質問事項
二の2 今後、予想される海水面上昇による東京東部の海抜ゼロメートル地帯の水害に対する現状認識について伺う。
回答
現在、都の東京東部の海抜ゼロメートル地帯における、伊勢湾台風級の台風がもたらす高潮にも耐えうる防潮堤等の整備は、おおむね完了しています。
なお、都としては、予測される海面水位の上昇や台風の大型化の影響についての国等の動向を注視し、必要に応じて国や区などと連携して高潮対策を検討していきます。
質問事項
二の3 東京港における災害時の物流機能維持のための流入物対策について伺う。
回答
災害が発生した場合においても、東京港の物流機能を維持していくことは極めて重要であると認識しています。
高潮等により、東京港に船舶の航行や港湾荷役等の支障となる流木等の障害物が流入した場合は、東京都地域防災計画等に基づき、港湾局及び東京海上保安部の船舶が除去作業を行うほか、必要に応じ民間事業者等にも応援を求めます。早急に除去することが困難な障害物については、東京海上保安部が警報等により海事関係者等に周知を図ることとしています。