元東京都議会議員 石毛 しげる

活動報告
ACTIVITY

都議会報告

平成20年第四回都議会定例会

文書質問趣意書

質問事項
一 経済連携協定に基づくインドネシア人看護師、介護福祉士の受け入れについて
二 首都大学東京の就職などについて
三 都市農業の保護、継続、促進のための生産緑地の保全について

質問内容を読む

一 経済連携協定に基づくインドネシア人看護師、介護福祉士の受け入れについて
 日本とインドネシアの間で締結された経済連携協定(以下、EPA)に基づき、本年度8月にインドネシア人看護師、介護福祉士候補者、各々104人合わせて208人が来日した。EPAとはEconomic Partnership Agreementの略で、2以上の国(又は地域)の間で、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)の要素(物品及びサービス貿易の自由化)に加え、貿易以外の分野、例えば人の移動や投資、政府調達、2国間協力などを含めて締結される包括的な協定である。

 インドネシアとの間では介護福祉士候補者600人、看護師候補者400人合わせて1000人を2年間で受け入れる予定である。候補者たちは日本で半年間の語学研修を受け、研修期間を経て日本の国家試験に合格すれば、看護師や介護福祉士として労働が可能となり、日本人と同等の給与が与えられる。しかし、第1陣である今回は当初の予定の定員500人を大きく下回る人数であった。
それは、今回の協定批准の5月から来日の8月に至るまでの募集期間や周知期間が短かったことにより応募が少なかったことが考えられる。

 それに加え、受け入側である我が国においても、候補者の半数以上を占めた男性看護師を日本の医療機関が敬遠したことも要因の一つだ。日本側の受入窓口である国際厚生事業団(JICWELS)によると、面接等を通過し候補者名簿の登載された候補者は、看護師174名(男性88名・女性86名)、介護福祉士131名(男性60名・女性71名)であった。しかし、受入先が決定し入国に至ったのは、看護師104名(男性29名・女性75名)、介護福祉士104名(男性48名・女性56名)となっているのである。

我が国では働く看護職員に占める男性の割合は約5%に過ぎず、介護福祉士においても21%と圧倒的に女性社会となっている状況である。

外国人には、日本語の言葉の壁は厚くさらに、インドネシアには我が国における介護福祉士にあたる資格が無く、介護福祉士候補者として応募するには看護学校か大学の看護学部の卒業が応募要件となり、看護師候補者の要件には2年以上の実務経験が付加されたことが上げられる。これにはインドネシアの看護師が日本で介護福祉士にしかなれないのは格下げともとれると、不満を募らせている。

今回のインドネシア看護師、介護福祉士候補者の受け入れにあたり日本政府は、人手不足の解消が狙いではなく両国の経済交流を強化する一環と考えており、また日本介護福祉士会や日本看護協会も現場での受け入れ態勢の不安から慎重論が根強いようである。しかし、全国約5000の特別養護老人ホームが加盟する全国福祉施設協議会は将来の人手不足解消に役立つと考えている。

日本の少子高齢化が進んでいる中で、医療、看護の現場で外国人労働者が必要となる時代が訪れるのは確実である。それを見込んで高い費用を負担し施設は受け入れを決定している。求人申込手数料が3万1500円、そして以下に候補者1人あたりのあっせん手数料が13万8000円、インドネシア海外労働者派遣・保護庁への手数料が3万5000円、滞在管理費が2万1000円、日本語研修期間への支払いが約36万円とかなりの高負担である。

施設にとっての更なる負担は候補者を在留期間内に合格させるという大きな役割を担うことである。現行のEPAにおいて看護師は来日から3年以内に3回、介護福祉士は4年に1回受験ができるとされている。不合格すなわち即帰国という厳しい条件の中で、介護福祉士は1回のみの受験しか認められないのは、日本語を母国語としていない候補者にとってはかなり厳しい条件なのではないだろうか。これでは決してパートナーシップとは言えず、今後、両国間に軋轢を生んでしまう可能性すらある。

日本政府はフィリピンとの間でもEPAの調印を済ませており、発効すればインドネシアに続いて看護師、介護士が2年間に1000人来日する予定である。

1 インドネシア第一陣の受入数は、全国では208名だが、都内の受入状況はどうなのか、伺う。
2 今回、インドネシア側の応募が少なかったことについて、今後どう改善されるのか、伺う。
3 今回の208名には、6カ月間の日本語研修を免除され、既に受入施設での就労・研修を始めている方がいるが、その方々の現在の様子はどうか、伺う。
4 今回の受け入れに当たって、都はこうした受入施設に対してどのような支援を行うのか、伺う。

二 首都大学東京の就職などについて
昨今、大学を取り巻く環境は厳しいものとなっている。アメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、百年に一度と言われるほど経済に大きな混乱を兆している。その損失は、5.8兆ドル(550兆円)に達する可能性があることが試算で報告されており、この影響は超大国を含むすべての世界に同時に起き、アイスランドやいくつかの国では、その国の存亡に関わる所も出ている。日本においても経済の伸びが減速し、会社の決算の下方修正を余儀なくされる企業が続出している。
金融危機は企業だけではなく、大学にも暗い影を落とし、少子化などで大学経営が厳しい大学が、投機性の高い資産運用を始めたといわれている。中には大規模なデリバティブ取引で多額の損失を出した大学も少なくなく、その穴埋めにキャンパスの土地・建物報告やグラウンドを担保として融資を受ける状況に至っている大学もある。

このことは、それだけ多くの大学が経営苦しいともいえる。また、少子化により大学の定員数が進学希望者数より上回り、大学を選り好みしなければ誰でも大学に入れる「大学全入学時代」が目の前に来ています。すでに私大の五割弱に定員割れが起きている。

近年ゆとり教育とか、大学入試が容易になったことが要因なのか、学生の学力低下が指摘されるようになったと言われています。本来、大学生として学力があるかどうかの絶対基準の評価の入学試験そのものが甘くなってきているとも言われている。

さて、金融危機は今まで景気好転や団塊世代の退職期を迎えていたことにより「売り手市場」だった大学生の就職戦にも急激な変化をもたらした。企業の業績や景気の悪化により、いったん決まった採用の内定を一方的に取り消される「内定取り消し」が後をたたない情勢が続いている。このままいくと「就職氷河期」と呼ばれた10年前の水準に戻りかねない状況である。世界や国内の景気・株・為替といった動向が先行き不透明のため、今大学に求められることはどんな時代が来ようが、就職に強い卒学生の輩出である。つまり、大学生としての専門知識やスキルと身に付けることは当然ながら、日常生活を通じて学生に社会で生きていく力を付けさせていける大学であるかどうかある。
大学はいかにこうした能力を学生にしっかり身に付けさせるかが課題である。

さて、大学の二極化が進むとともに、就職活動でも学生の二極化が進んでいる。複数の企業から内定をもらう学生と、全く内定をもらえない学生に二分される。この差は企業が人物本位の採用選考を実施するようになったことが大きい。就職はあくまで学生個人である。入学後の学びや課外活動など、さまざまな体験によって個々の学生の能力を大きく伸ばすことができるのも大学である。

1 他の大学において、学生の学力のレベルが下がっていると聞くが、首都大学東京における近年の志願者数の推移はどうか、伺う。
2 「売り手市場」から「買い手市場」になった、今年と来年度の就職状況について、伺う。
3 首都大学東京での大麻防止にどのような対策がとられているのか、伺う。
4 欧米の大学を見ると入学は簡単だが卒業は難しいと言われている。つまり「受験生の質」でなく、「卒業生の質」が重要視されているといえよう。大学側にはどのような教育を提供し、そしてどのようなレベルの卒業生を出したいのか、大学の姿勢が求められる。学生側には学生時代の4年間をどう過ごすか、学生時代に何をやってきたかが採用選考で試される。この両者が合わさったものが「大学力」といえよう。不況の今まさに「大学力」が試される。今後の首都大学東京の姿を伺う。

三 都市農業の保護、継続、促進のための生産緑地の保全について
都市部に残る緑地を守るために、1974年に制定された生産緑地法に基づき市町村から指定された生産緑地だが、3大都市圏において1995年における約1万5500ヘクタールがピークであり、2000年度には約260ヘクタール減少、2005年度にはさらに約660ヘクタールも減少してしまった。
生産緑地法において生産緑地として指定されるには500平方メートル以上の土地であることや30年間の営農などが条件であり、指定されると農地としての維持が求められ宅地やアパート開発など農業目的以外での使用が制限されてしまう。しかし生産緑地に指定される最大の利点は税金であり、宅地並みの課税対象とはならず課される税金額が少ない。この税金における利点は、地価の高い3大都市圏で農地への課税がもし仮に宅地並みとなると、固定資産税は生産緑地の数10倍から数100倍にも膨らむということからもわかるだろう。

このように税金面で優遇されているにもかかわらず、生産緑地が減少しているのは生産緑地の所有者の死亡による相続のためである。相続人となる遺族は高額な相続税が発生するために、生産緑地の指定を解除し開発業者に売却する。結果、生産緑地法の意義もむなしく売却後は宅地開発が進んでしまっている。

しかし生産緑地法の規定では農業従事者の死亡や障害などで農業が続けられなくなった場合には自治体に申し出を行い時価で買い取ってもらうことが原則とされているが、この仕組みは全く機能していないに等しい。例にあげると練馬区では2003年度から2007年度の5年間で108件の買い取り要請があったが、区の購入は0件であった。自治体による買い取りが進まない主な理由は、生産緑地の面積が中途半端で公共用地としての使用が適さない土地であり、また財産的にも土地は高額なので無計画、無目的には購入できないことなどが挙げられる。つまり、相続税支払いのため生産緑地の指定は解除され貴重な生産緑地は多くが宅地へと姿を変えている。

一方で、「耕したい非農家市民」の数は増加している。都市農業の担い手でもある一般市民層においても、農業は生産だけにとどまらず、環境保全、地域教育、福祉などの農業の持つ複合的な恩恵が認識されつつあり、都市農業を守ることの意義は大きい。

自治体が農地所有者から農地を借り上げ開設する区民、市民農園のニーズはとても高く、どの自治体も抽選を行っている。しかし素人が指導も受けずに栽培を行うため上手くいかず、耕作放棄状態になりがちである。また、隣の区画との仲間関係も築きにくい。一方、農地所有者にとっても不利な点が多く上記の通り相続が発生した場合、高額な相続税を支払わなければならない。そのため区民、市民農園は将来的にそこで農業活動を行っていくのが難しい現状がある。
練馬区では農家の方が中心となり区民参加型の体験農園の開設をした。体験農園は園主が農園利用者に栽培方法を直接指導するため自作扱いとなり、適正に管理すれば税制上相続税の納税猶予制度の対象となることが可能である。練馬区では体験農園開設後、実際に相続が発生したがこの納税猶予制度が適用されている。

また、区内に12ある体験農園の1つ「大泉 風のがっこう」では園主の指導のもとに区民が年間20種類から25種類程度の野菜の栽培を行い4月から翌年の1月まで、毎週金、土、日曜日この畑は大勢の人で賑わっている。彼らは皆、農民ではなく近隣に居住するサラリーマンや主婦、定年退職後のリタイヤ組である。利用料は3万1000円(区民以外は4万3000円)と区民農園の4000円と比較すると割高だが、農業指導や道具や苗の提供もあり、また区の担当者によると1区画で価格にして年間平均8万円ほどの収穫があるという。農園利用者の満足を考えると決して高い費用ではない。

体験農園の多くは単に野菜を栽培するだけではなく、区民、市民農園にはない園主、他の農園利用者との結びつきがある。体験農園では会社などを離れた場所で利害関係が生じない人間関係が築け、また定年退職後の人々の地域への再参加も促し、また大量にできた野菜を御裾分けするといったことにより農園関係者以外との接点もできる。都市農業は環境保全といった面だけではなく、核家族化や、他者との関係が希薄化の進んだ現在、個人と地域とのつながりを深める役割も果たしている。

また練馬区の園主の場合、粗収入は区画数×4万3000円であり、体験農園が平均すると110区画なので平均粗収入は473万円である。また普通の野菜の経費が40%から50%であるのに対して、体験農園の場合は25%から30%だという。農作業が軽減され、区民に感謝され、コミュニケーションが深まり、農地が守られる体験農園は各地に広がり、2007年12月時点で都内では3区15市1町に47箇所2887区画となっている。

以上に述べた理由に加え、食の安全が叫ばれ、また他の先進国と比較して食料自給率が著しく低い我が国にとって都市農業は今後も保護、推進していかなくてはならないと考える。しかし全ての生産緑地が体験農園となることが可能な訳ではない。上記の練馬区でも農地面積は288ヘクタールで総面積の6%を占めるが、この10年間で3割も減少している。

1 東京都の農家、農業人口、農地面積の推移はどうなっているのか、伺う。
2 都市における生産緑地の存在には沢山の利点があると思うがその役割にはどんなものがあるか、伺う。
3 都市農業の要となっている生産緑地をどのように保全していくのか、伺う。


石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

答弁書を読む


質問事項
一 経済連携協定に基づくインドネシア人看護師、介護福祉士の受け入れについて
1 日本とインドネシアとの間で締結された経済連携協定に基づき、看護師、介護福祉士合わせて、全国で208名が来日したが、都内の受入状況はどうなっているのか伺う。

回答
インドネシア人看護師候補者のうち、都内の医療機関における受入数は8名であり、その内訳は、民間病院2か所にそれぞれ2名、都立広尾病院及び駒込病院にそれぞれ2名となっています。
また、介護福祉士候補者のうち、都内の福祉施設における受入数は6名であり、その内訳は、民間施設3か所にそれぞれ1名、都立板橋ナーシングホームに2名、都立東村山ナーシングホームに1名となっています。

質問事項
一の2 第一陣である今回は当初予定定員の500人を大きく下回る人数であったが、インドネシア側の応募が少なかったことについて、今後どう改善されるのか伺う。

回答
本制度における就労のあっせんは、両国政府において一元的に実施することとされています。
国は、来年度の受入れについて、募集期間を十分に確保し、制度に関する周知・広報の充実を図ることや、インドネシアにおいて介護士に関する研修制度・資格制度が創設されること等により、応募者数は今回よりも増えるものと見込んでいます。

質問事項
一の3 今回の208名には、6か月の日本語研修を免除され、既に受入施設での就労・研修を始めている方がいるが、その方々の現在の様子について伺う。

回答
今回来日したインドネシア人候補者208名のうち、日本語能力が十分と認められた3名については、昨年9月から受入施設での就労・研修が行われています。
都内で就労・研修中の候補者は、インドネシアの看護師資格に加え、日本語能力試験2級とホームヘルパー2級の資格を有している方で、現在、特別養護老人ホームの業務に従事しています。
同候補者は、業務上の様々な質問についても日本語で行っていますが、介護福祉士国家試験に使われている漢字をはじめ、難易度の高い日本語を習得するなど、学習を継続しています。

質問事項
一の4 今回、看護師、介護福祉士の受け入れに当たって、都はこうした受入施設に対してどのような支援を行うのか、伺う。

回答
都は、国際協力の観点に立ち、来日したインドネシア人候補者の方々が在留期間内に国家試験に合格し、引き続き就労できるよう支援していきます。
現在、日本語教育の専門機関や有識者等と連携を図りながら、6か月の日本語研修終了後、受入病院・施設において使用する日本語教材や、効果的な学習プログラムについて検討しています。
今後とも、インドネシア人候補者の方々が安心して就労し、学習できる環境づくりに努めるとともに、民間の受入病院・施設が行う日本語習得や国家試験合格に向けた取組に対しても支援していきます。

質問事項
二 首都大学東京の就職などについて
1 他大学では学生の学力レベルが下がっていると聞くが、首都大学東京における近年の志願者数の推移はどうか、伺う。

回答
首都大学東京の学部における一般選抜と特別選抜等を合わせた全体の志願者は、全国的な18歳人口の減少傾向もあり、平成17年度 9,710人、平成18年度 9,314人、平成19年度 8,845人、平成20年度 8,564人と推移しています。

質問事項
二の2 「売り手市場」から「買い手市場」になったが、首都大学東京における今年と来年度の就職状況について伺う。

回答
近年の学生の就職環境は、平成20年3月卒業・修了者の就職率が97.7%と前年の96.2%を上回るなど、「売り手市場」の中にあり、来春卒業・修了する学生に対する採用活動も早期に始まりました。
しかし、年度途中に発生した金融危機による急激な景気悪化に伴い、採用を中止する企業や内定を取り消す企業が現れる状況となり、平成20年12月現在で把握している学生の進路状況における就職内定率は95.7%となっています。
また、現在就職活動を行っている、平成22年3月卒業・修了予定者に対する採用動向は、急激な景気悪化の影響を受けて一層厳しい状況になっているものと認識しています。

質問事項
二の3 首都大学東京での大麻防止対策について伺う。

回答
大麻をはじめとする学生の薬物乱用の防止については、年度当初に全学生を対象に配布している「キャンパスライフ&スタディ」のなかで有意義な学生生活を送るための注意事項の一つとして記載し、その防止を呼びかけています。
また、最近の大麻に関わる学生の事件を深刻に受け止め、昨年11月には警告文書を学内に掲示し、学生へ注意喚起を行いました。
さらに、本年1月には薬物依存に関する専門家を招いて「薬物乱用防止講習会」を開催したところであり、今後とも学生に対して薬物乱用防止の一層の普及啓発に努めていきます。

質問事項
二の4 大学側の教育提供姿勢と学生側の学ぶ姿勢とが合わさったものが「大学力」といえる。不況の今まさに「大学力」が試されるが、今後の首都大学東京の姿について、伺う。

回答
首都大学東京では、その人しか持ちえないような能力、創造力を引き出す観点から、意欲ある学生一人ひとりの自主性を尊重しながら、大都市の特色を生かした実践的な教育を実施することにより、都市社会の抱える様々な課題を理解し、課題発見・解決能力を持った人材の育成を行っています。
今後とも、首都大学東京の基本理念である「大都市における人間社会の理想像の追求」に向け、大都市に立脚した教育研究の成果をあげ、豊かな人間性と独創性を備えた人材を育成し、人間社会の向上・発展に寄与していきます。

質問事項
三 都市農業の保護、継続、促進のための生産緑地の保全について
1 都の農家、農業人口、農地面積の推移について伺う。

回答
5年毎に行われる農林水産省の農林業センサスによると、都内の農家数の推移は、平成2年が20,679戸、平成7年が17,367戸、平成12年が15,460戸、平成17年が13,700戸となっており、15年間で6,979戸、約34パーセントの減少となっています。
農業就業人口については、平成2年が26,069人、平成7年が21,143人、平成12年が19,715人、平成17年が16,344人となっており、15年間で9,725人、約37パーセントの減少となっています。
また、毎年実施される農林水産省の耕地面積調査によると、農地面積の推移は、平成4年が11,000ヘクタール、平成9年が9,590ヘクタール、平成14年が8,550ヘクタール、平成19年が8,090ヘクタールとなっており、15年間で2,910ヘクタール、約26パーセントの減少となっています。

質問事項
三の2 都市における生産緑地の存在にはたくさんの利点があると思うが、その役割について伺う。

回答
平成19年における都内の生産緑地面積は3,655ヘクタールで、農地面積全体の約45パーセントを占めており、東京の農業の主要な生産基盤となっています。
都内の生産緑地では、大消費地に隣接しているメリットを活かして、消費者ニーズに応える特色ある農業生産が行われ、各地域の農産物直売所などを中心に、都民に新鮮で、安全・安心な農産物が供給されています。
また、生産緑地とそこで営まれている農業は、多面的な機能を有しており、都市において重要な役割を担っています。
具体的な機能としては、
・ 都民が農業を楽しみ交流できるレクリエーション・コミュニティー機能
・ 自然の仕組みや営みを学ぶとともに、農業・食に対する理解を深める教育機能
・ 災害時の避難場所や火災の延焼遮断、豪雨時の雨水貯留などの防災機能
・ ヒートアイランド現象の緩和、地下水の涵養などの環境保全機能
・ 田園風景や昔の面影を残す農地や屋敷林などの景観形成、歴史・文化の伝承機能
などがあると考えています。

質問事項
三の3 都市農業の要となっている生産緑地をどう保全していくか、所見を伺う。

回答
生産緑地の保全は、都市計画制度や税制など様々な側面から取り組んでいくことが重要であり、都は、区市が行う新たな生産緑地地区の指定を支援するなど、都市計画制度の面から適切な運用に努めています。
また、より多くの農地が保全できるよう、指定に係る面積要件の引き下げや相続税制度の改善について、引き続き、国に提案要求していきます。

平成20年第三回都議会定例会

文書質問趣意書

質問事項
一 年次有給休暇の取得率について
二 日本国籍を有しない外国人の東京都職員採用について
三 住居喪失不安定就労者に対するサポート拡充について

質問内容を読む

一 年次有給休暇の取得率について
厚生労働省が2007年10月に発表した就労条件総合調査によると、年次有給休暇の取得率は46.6%となり過去最低を記録した。取得率は1992年、1993年に56.1%を記録した後、2000年以降は40%台となり低下傾向が続いている。企業が従業員に付与した有給休暇は平均17.7日だが、実際に取得したのは8.3日にとどまった。企業の有給休暇の付与日数は年々増加しているのにもかかわらず、実際に休んだ日数は1995年の9.5日をピークに減り続けている。

企業別の取得率は従業員数1千人以上の企業は51.7%、300人から999人の企業は43.0%、100人から299人の企業は43.9%、30人から99人の企業は43.0%となり、企業規模が小さいほど取得率が低い傾向がわかる。

これらの傾向はもちろんバブル崩壊後の日本経済が背景にある。リストラにより正社員数は減り、個々人が処理しなければならない業務は格段に増加した。またそれまでの年功序列型の評価体系から成果主義による評価体系が多く導入され、休みづらい状況も発生している。ただ上記で触れたように有給休暇の取得率は低下しているが、企業の労働者に対する有給休暇の付与日数は皮肉にも増加している。

有給休暇は労働者に与えられる正当な権利であるが、その時点の経済、雇用状況により企業側の事情もあるだろう。しかし正当な権利を行使している割合が4割台というのはお寒いかぎりである。
我が国で有給休暇を全て取得できている割合は全体のわずか13%であり、他の調査国と比較すると最も多く取得しているのはドイツの81%、次いでフランス80%、イギリス77%、スペイン76%、アメリカ69%、オーストリア59%、イタリア53%、オランダ51%となり日本は突出して低い結果であった。このように欧米先進国と比べると、これがいかに異常なことかがわかる。ドイツ・北欧では法定もしくは労働協約上の年休は30日で、これを全部消化するのが当たり前である。「取得率」などという考え方はない。しかも、ILO132号条約が批准されていて、2週間以上連続して有給休暇を与えなければならないことになっている。労働者が夏や冬に、まとまって1ヶ月近い休みを取るのは当然のことで、会社が文句を言おうものなら大問題になる。
日本はもちろん、ILO132号条約を批准していない。

厚生労働省統計によれば、脳・心臓疾患の労災申請は97~06年の10年で539件から938件へ、認定数は73件から355件へと2~5倍に増えている(うち4~5割は過労死)。精神障害などの申請数はもっとすさまじく、実に41件から819件へ、認定数は2件から205件へと激増しているのである(うち4~5割は自殺もしくは自殺未遂)。有給休暇は心身ともに「リフレッシュ」でき、こうした労災申請等の減少につながるであろう。

さて、有給休暇を取得できない理由は「有給休暇を取ろうと思えば取れない訳ではないが、仕事も忙しく、なんとなく職場の雰囲気としても取りにくいため」となっている。

また東京労働局が例年、年次有給休暇の取得促進・連続休暇の普及拡大のために行っている「ほっとウィークキャンペーン」の2007年アンケート集計結果でも、有給休暇が取りきれずに消滅してしまう理由として、「職場の皆があまり取らないので皆に合わせた」という項目が74.8%と突出している。これらの調査結果理由は似通っている。

2007年に政府が発表した「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」の中で、年次有給休暇取得率を現状の46.6%から2012年には60%、2017年には完全取得を目指すことを目標としている。この目標を達成するには単純に有給休暇の取得を奨励するだけではなく、女性の社会進出の更なる活性化、定年退職後の継続雇用の拡大など労働力に対する柔軟で複合的な対策が求められよう。

また有給休暇の取得拡大が実現されればレジャーなど消費行動にも大きな経済効果が望め、また国民の祝日と組み合わせることにより5月以外にも大型連休を作ることが可能になる。国内、海外の移動も活発になり地域経済は潤い、海外交流も盛んにもなるだろう。

1 東京都の職員の年次有給休暇の取得率はどうか。
2 都内における中小企業の年次有給休暇の取得率の実態はどうか。
3 都内中小企業の年次有給休暇取得率向上に対する都の取り組みと、今後の対策について伺う。

二 日本国籍を有しない外国人の東京都職員採用について
現在、実施されている東京都職員採用試験では、一部の試験区分で日本国籍を有していない外国人でも受験可能にはなっている。しかし、それはまだ福祉系や医療技術系においてのみである。
さらに、(土木、建築、機械、電気)といった職種でも外国人の採用が認められれば、採用試験案内にもあるような『首都東京をフィールドとして行政を担う東京都職員は、「首都公務員」として日本の未来を切り拓くフロントランナーであることが期待されています』という事にも益々応えられ、また<東京都の求める人材像>の中で謳っている『「首都公務員」にふさわしい、高い志と豊かな感性を持った人材』も更に集まってくるであろうと考える。

少子化の進む日本の労働力人口は2006年から比べると2030年に1070万人減る見通し(厚生労働省推計)である。そして経済協力開発機構(OECD)は2007年、現状の労働力人口を維持するには年間50万人の外国人労働者を受け入れる必要がある、との報告書をまとめている。

すでに看護や介護、製造業の分野などでは外国人労働者無しでは成り立たない状況下にあり、8月7日には日本とインドネシアとの経済連携協定(EPA)によりインドネシア人看護士・介護福祉士候補の第1陣、それぞれ看護士候補者104人、介護福祉士候補104人合わせて208人が来日したばかりである。そして製造業が多く集まる東海地方は人口に占める外国人の割合が高く、例としてソニーなど大手メーカー工場が集まる岐阜県美濃加茂市はその割合は10.8%となっている。外国人労働者を必要とする企業は東海地方に限らず、全国どこにでもあり生産現場での人材争奪戦は年々激しさを増している。

また大和証券SMBCが今春採用した新入社員約150人のうち13人が外国人であった。日本市場の株式の売買は6割を外国人投資家が占めており、人事課長は「外国籍の社員が増えるのは自然なこと」と語っている。

電機や自動車など世界展開する企業に加え、再び海外事業を強化する邦銀も外国人の人材確保に力を入れ始め、優秀な外国人労働者の才能を獲得するか否かというその成否が企業の競争力を大きく左右する時代になった。
上記の通り様々な業種業態でこのような状況下にある。

盛んにグローバリズムが唱えられている昨今、当然行政においても外国人の雇用を積極的に門戸を開いていく必要がある。
日本以外にも欧州を始め東南アジア、そして世界一の大国である中国でさえ少子化に向かっている。全世界で優秀な労働力の獲得競争が始まっている。それは少子化に悩む各国が留学生獲得に躍起になっていることとまったく無関係ではない。そして外国人労働者を積極的に受け入れるということは、結果として政府が骨太の方針の中で目指している「留学生30万人計画」の実現の為の受け皿にもなるはずである。

ただ日本は、他国に比べても人種や言語の多様性が少ないため、それは時に他人種や他文化に対しなかなか相互に理解しにくいと指摘されている。
しかし、日本の2007年度の難民認定者数は41人であり米国の約1万8千人、フランスの1万3千人に比べると圧倒的に少ない。この状況は他国からは排他性と映るであろう。
東京都職員が真の「日本の未来を切り拓くフロントランナー」と成り得るには、全試験区分から国籍要件を解除すべきである。それは東京都やがて国をも動かし、かけ声言葉だけではない真の国際化、グローバル化の社会に向かうであろう。

すでに大阪府、神奈川県、三重県、高知県、沖縄県などでは全試験区分において国籍要件を受験資格から解除していると聞く。東京都においても全試験区分において外国人の受験が認められるなら、世界各国の様々な人種、国籍の人間が集まり経済活動を行っている首都東京における行政を担うにふさわしい人材が更に集まるであろう。

1 現在、日本国籍を有していない外国人の東京都職員がどんな職種に何人いるのか。
2 今まで、東京都職員の職種に事務や4大技術に日本国籍を有していない外国人が含まれない理由は何であったのか。
3 21世紀の現在、東京都職員採用、全試験区分に日本国籍を有していない外国人を採用できないか。

三 住居喪失不安定就労者に対するサポート拡充について
厚生労働省のまとめによると、派遣労働者は99年の約107万人から、06年度は3倍の321万人に急増、また総務省の調査では、正社員の占める割合は、99年の75.1%から66.5%に減少している。
一方、住居喪失不安定就労者(インターネットカフェや漫画喫茶、ファーストフード等の24時間営業店で寝泊りしながら就労している方)を支援している「TOKYOチャレンジネット」で得た厚生労働省の資料や厚生労働省による『住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書』(平成19年8月)によると、全国のネットカフェ等で寝泊りする住居喪失者は5400人、その約8割が東京、大阪、愛知に集中しており、そして東京23区には約2000人いると推定されている。

その男女比は男性94.2%、女性5.4%と男性が9割以上を占めている。年齢では19歳以下が0.4%、20歳から39歳までが41.5%、40歳から59歳までが45.5%、60歳以上が12.5%となっており、20歳から59歳まで約9割を占めている。そして学歴は中学卒業が19.2%、高校中退が21.4%、高校卒業が43.3%、短大・高専・専門学校中退が3.6%、短大・高専・専門学校卒業が3.1%、大学中退が1.3%、大学卒業が4%となっており、高卒が約4割以上を占め最も多く、中卒や高校中退も約2割と高い数値となっている。

これらの20歳から59歳までの約9割を占める年代の人々は1968年位から1980年代初頭生まれのバブル崩壊後の就職氷河期と言われた人々や、不況下においてリストラされた人々と多く重なっていると思われる。バブル経済崩壊後の1993年から2000年代中頃まで有効求人倍率は1倍を下回っていて、大卒ですら就職が難しかった時期が10年以上も続く状態であった、そのために中卒や高校中退、高卒の人々が就職難に陥ったのは容易に想像できる。

日本の雇用サイクルは新卒の時期を逃すと、翌年には非常に就職が難しくなるという構図が出来上がっている。それは今尚、健在であり一度その枠組みから外れてしまうと正社員となるのが大変難しい。そのため不安定な非正規雇用へと従事せざるを得なかった人々がバブル経済崩壊後増大した。

また不況に陥ってから、製造業やサービス業を始めとする多くの企業で人件費のかかる正社員から派遣労働者、アルバイトといった非正規雇用に移行することにより人件費を抑制し自社の労働力を賄い不況を乗り越えていこうとしたのだった。
非正規雇用に従事している人々に対し、正規雇用の職に就けないことを本人の努力不足といった自己責任に押し付ける論調を多く目の当たりにする。しかしこれは上記の雇用、経済状態から大きな間違いであることがわかる。また自己責任論を唱える人々の多くは正社員として働いていると考えられるが、今日それらの人々が正社員としてベアアップやボーナス、様々な福利厚生が望めるのは非正規雇用である日雇い派遣やフリーターといった雇用形態の上に成り立っているということを決して忘れてはならない。

そしてこれら非正規雇用に従事している人々は本来、正社員としての仕事を望んでいる。それは東京における住居喪失不安定就労者の内25.7%の人々が現在具体的な求職活動を行い、37.4%の人々が現在求職活動はしていないが、今後求職活動を行う予定と回答した人々が合わせて6割以上に達することからもわかる。

そのため今年度4月から東京都と厚生労働省が「TOKYOチャレンジネット」事業を開始し、生活相談業務や居住相談業務、資金の貸付の行いを始めた事は大いに評価できる。
ただ事業期間は平成22年度までの3年を予定しているようだが、先にも触れたように住居喪失不安定就労者は幅広い年代に分布しており、非正規雇用の現状から脱するには長期間要する人々もいるだろう。それは住居喪失期間が10年以上という人々が13.8%もいることから判断できる。また「悩み事等を相談できる人が存在するか」という問いに対し、42.2%の人々が存在しないと回答している。悩みを吐露できる場が存在する、存在しないでは、彼らの精神的状態も全く異なってくるであろう。

また健康問題(身体・精神)、失職や不安定な収入により借金といった債務関係で悩んでいる人々も多い。これらは非正規雇用問題が語られる時、努力すれば現状は変えられるのにしなかったという自己責任論に押されあまり顕在化してこないが、そのため非正規雇用に従事しなければならなくなったという事は非常に多い。

1 「TOKYOチャレンジネット」事業を始めて何件申し込みがあり、何件成立に至ったか。
2 この事業をでは、条件として都内に生活期間を6か月以上置くことになっている、こうした事もハードルになっているようだ、生活期間はもっと短くならないか。
3 住居喪失不安定就労者には、多重債務者もいるが、こうした人には法律相談も合わせてするべきと思うが如何か。


石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

答弁書を読む


質問事項
一 年次有給休暇の取得率について
1 都職員の年次有給休暇の取得率について伺う。

回答
平成19年における都職員の年次有給休暇の取得率は、57.1%です。
なお、警視庁、消防庁を除く都職員の取得率は、76.0%です。

質問事項
一の2 都内における中小企業の年次有給休暇の取得率の実態について伺う。

回答
都が実施する「中小企業の賃金事情調査」の中で、従業員数10人~299人規模の都内中小企業の休日・休暇について調査しており、平成19年の年次有給休暇取得率は、46.4%となっています。

質問事項
一の3 都内中小企業の年次有給休暇取得率向上に対する都の取組と今後の対策について伺う。

回答
都は、これまでもセミナーの開催や各種普及啓発資料の配布等を通じて、年次有給休暇制度の周知と取得率の向上に努めてきました。
また、「働き方の見直し」を進めるため、平成20年度から実施している「いきいき職場推進事業」において、ワークライフバランスに取り組む中小企業の認定制度を開始しました。この制度では、認定部門の一つに「年休取得促進部門」を設けており、企業独自の年休取得促進に向けた優れた取組を公募し、広く公表していきます。
今後とも、こうした事業の実施により、年次有給休暇を取得しやすい雇用環境づくりに努めていきます。

質問事項
二 日本国籍を有しない外国人の東京都職員採用について
1 現在、日本国籍を有していない外国人の都職員は、どんな職種に何人いるのか伺う。

回答
日本国籍を有していない外国人の都職員は、平成20年4月1日現在、知事部局、公営企業、教育委員会に看護師26名、医師6名、教諭3名など9職種、42名在職しています。

質問事項
二の2 今まで事務や四大技術の職種に日本国籍を有していない外国人が含まれない理由は何か伺う。

回答
国は、公権力の行使又は公の意思の形成への参加に携わる公務員には日本国籍が必要であるという考えを「当然の法理」として示しており、また、最高裁においても、「公権力行使等地方公務員」に外国人が就任することは、我が国の法体系の想定するところではないとしています。都の職員採用においてもこれを基本とし、運用していくことは妥当であると考えています。
したがって、事務や四大技術の職種については、許認可事務に従事するなど公権力の行使や公の意思の形成への参画等に携わる蓋然性が高い職種であることから、採用に当たって国籍要件を設けています。
一方、国際化の観点を踏まえ、都独自の判断により、当然の法理に抵触しない範囲内で、国籍要件を解除することが可能と判断した職種を整理し、既に全職種の7割について国籍要件を解除しています。

質問事項
二の3 都職員採用の全試験区分から国籍要件を解除し、日本国籍を有していない外国人を採用できないか伺う。

回答
事務や四大技術の職種については、許認可事務に従事するなど公権力の行使や公の意思の形成への参画等に携わる蓋然性が高い職種であることから、採用に当たって国籍要件を設けています。
今後も引き続き、国籍要件を解除している職種については、適正に採用を行っていくとともに、日本国籍を有しない外国人の職員採用については、国や他の地方自治体の状況を注視していきます。

質問事項
三 住居喪失不安定就労者に対するサポート拡充について
1 「TOKYOチャレンジネット」事業をはじめてから何件申し込みがあり、何件成立に至ったか伺う。

回答
本年4月の事業開始から9月末現在までに、電話やメール等による問い合わせは1,613件あり、来所し継続的な相談のための登録を行った方は613人でした。
このうち、住宅資金等の貸付けを受けた方は93人、求人を紹介し就職に至った方は112人です。

質問事項
三の2 「TOKYOチャレンジネット」事業では、条件として都内に生活期間を6か月以上置くことになっているが、この生活期間はもっと短くならないか伺う。

回答
本事業は、都民を対象とした事業であることから、都内に一定の生活実態があることを要件としています。
また、住居を喪失した方を対象とするという特性から、都内に住所がない場合であっても6か月以上の生活実態があれば支援の対象としているものです。
なお、要件を満たさない方が来所した場合には、国事業である就労相談を行うほか、相談者の状況に応じて、福祉事務所等の関係機関へ繋げるなどの支援を実施しています。

質問事項
三の3 住居喪失不安定就労者には、多重債務者もいるが、こうした人には法律相談も合わせて行うべきだが、所見を伺う。

回答
「TOKYOチャレンジネット」では、多重債務や労働問題などの法律問題を抱えている相談者に対して、弁護士や司法書士による無料法律相談を既に実施しています。
9月末現在の相談件数は延べ65件です。

平成20年第二回都議会定例会

文書質問趣意書

質問事項
一 首都大学東京の9月入学について
二 助産所を包括した地域周産期ネットワークの確立及び緊急搬送体制の整備状況について
三 妊婦健診について
四 都立松沢病院における医療観察法施設について

質問内容を読む

一 首都大学東京の9月入学について
政府は2020年までに「留学生30万人に増やす計画打ち出した、実施に移すとともに、具体策として、産学官連携による海外の優秀な人材の大学院、企業への受け入れの拡大を進める」と発表している。

07年度の留学生は12万人であり、今後12年で2.5倍に引き上げなければならない、今の現状ではこの目標はかなり高いハードルといえよう。

私は大学、大学院における教育、研究のレベル、ひいては日本経済、日本企業の国際競争力を高めるため、首都大学東京での9月入学を推進するべきだと考える。
学部段階で05年度に9月入学の制度を設けていたのは国公立、私立大学併せて153大学あり入学者は1569人いたが、05年度の全入学者60万4千人に占める割合は1%に満たない。その半数以上は留学生である(毎日新聞、日本経済新聞)。制度はあるもののその利用は進んでいないというのが現状である。

まず一般学生のケース考えると、入学時期の「原則4月」の撤廃は文部科学省による大学だけに対しての方針であり、9月入学が進まない原因は高校卒業後の大学進学までの空白(入口)や大学卒業後の進路先である企業での受け入れ態勢(出口)が整っていないと考える。
大学進学までの空白時期についてだが、教育再生会議でも議論された英国で浸透しているというギャップイヤーという制度がある(英国では、主に大学入学の資格を得た18歳から25歳の希望者が取り組む習慣。高校卒業の6月から、大学が始まる翌年10月までの16カ月を猶予期間として使う場合が多く、ボランティアや就業体験、旅行などをする。全学生十数%にあたる約4万5千が毎年利用するという、体験した学生は勉強の動機がしっかりしているとの声が多い。)。また、入試時期については現行の4月入学を9月にも同様に行っていく。高校卒業から大学入学までのギャップイヤーという時期は、進路先である大学が指定するアルバイトやボランティア、就業体験などを行う。途中で入学予定者が集まり大学でスクーリングを行ない、それらの結果を単位認定するのも良いだろう。それは大学入学せずドロップアウトしてしまうという不測の事態にも備えられるのではないか。

1 そこで首都大学東京でも、英国で浸透しているようなギャップイヤーという制度を国に先駆けて都が導入することを考えられないか。
一方、出口の方の大学卒業後の進路先である企業だが、現状では入社時期によって給与体系に差が生じる心配があるが、こうした契機に改めて給与、賃金体系を見直してもらうのもよいと考える。
幸い首都である東京にはあらゆる業種の企業が本社機能を置いている。これらの中から、柔軟な給与体系を採用している企業(勿論、それ以外にも)に9月入学、9月入社の意義を理解して頂き積極的な採用を促すあるいは協力を求めていくといった行動は今後、都としても必要になっていくと考えられる。

2 首都大学東京が企業に対して9月入学の就職を受け入れてくれるように働きかけられないか。
また、留学生のケースでは上記の通り9月入学の半数以上は留学生ではあるが、制度があるにもかかわらず入学数は伸びない。

9月入学制度が存在しても利用されなくては無意味である。早稲田大学では98年から学部と大学院の一部で、日本語能力を問わず、英語能力だけを問い小論文などを中心とする欧米型の9月入学も行なったところ、アジアから欧米に流れるはずの逸材が入ってきたようだ(朝日新聞)。

早稲田大学は少子化で学生の質が低下しているため、学部レベルで1、2割の生徒を優秀な留学生に置き換えたいとしている。この例こそが大学の教育、研究レベルの国際競争を高める為のよい例ではないだろうか。また、日本の学生にとっても間近に外国語や多文化に触れ、大学内において生きた外国が学べるメリットもある。少子化が続き、今後も各大学は学生獲得に奔走するであろう。もし9月入学が浸透しないままであるなら、確実に今後も日本の大学は世界の中から忘れ去られるであろう。それは大学崩壊に繋がり、結果、日本経済にも同じような状況が反映されていくのは想像に難しくない。
少子化を迎え学生確保がかなり難しくなってきた今日、優秀な外国人留学生の受け入れは教育、研究レベルを保つために必要不可欠な存在であり、入学定員不足に悩む各大学にとっては大きなビジネスチャンスでもある。

上記のような事を踏まえ、今後、首都大が大学、大学院における9月入学を推し進めていくことには十分価値があると考えられる。
現在、首都大では大学院で9月入学は行なわれており、昨年度は1学科のみの実施だったが今年度は3学科に増えるということである。それに対し学部段階では残念ながら実施されてはおらず、旧都立4大学の1つであった旧都立科学技術大学において平成16年度に若干名募集したところ1名の応募があったのみのようだ。

さて、我が国で留学生の受け入れが遅れている原因は日本の4月入学とともに言語、日本語の問題が挙げられると考えられる。言語の壁は留学生、受け入れる側の大学双方にとって難しい問題であるが、早稲田大学の例のように欧米型の9月入学を導入することによって留学生の確保はかなり望めるはずだ。ただ入試を行うだけでは勿論、不十分であり都や大学側はカリキュラム、奨学金、学生寮、進路など留学生に対するあらゆる制度、支援を整えていかなくてはならず、一般学生に対するそれとは比べものにならない負担が都や大学側に生ずるであろう。しかし、我が国で留学経験のある有望な学生が卒業後、世界各地で活躍することによって我が国にもたらすだろう有形無形の利益はその負担を大きく上回るはずである。

ちなみに、我が国の留学生の出身国、地域は中国が60.2%、韓国14.6%、台湾4.0%、ベトナム2.2%、マレーシア1.8%、タイ1.8%、その他15.4%となっている(07年度文部科学省調べ)。我が国の地理上、留学生の出身国の人口などの理由から東アジアや東南アジアの留学生が多く占める構図は今後も大きく変化しないであろうが、欧米型の9月入学の導入により、更に世界各地からの留学生の獲得が望めると考える。

3 そこで、首都大学東京が9月入学に力を入れることは勿論であるが、国公立大学に対してもこうした取り組みを協働してできないか伺う。
二 助産所を包括した地域周産期ネットワークの確立及び緊急搬送体制の整備状況について
現在、多摩地区における有床助産所は12カ所あり、そのうち半数以上の7カ所を一人の医師が嘱託医を引き受けている。今年度から、助産所においては、産科の嘱託医を確保しないといけなくなったが、嘱託医を引き受ける数少ない医療機関がかりに閉院したならば、助産所の営業ができなくなり、助産所での出産を希望している妊婦も希望どおりの出産ができなくなる。
こうしたことから、院内助産所も含め助産所は自然分娩ができるローリスク妊婦を取り扱い、帝王切開など手術が必要なハイリスクの妊婦は医師が取り扱うというように、医師と助産師の役割分担を明確にし、互いに協力して妊産婦のケアにあたることができるというような環境整備を行政が積極的に進めていくことが必要だ。

これにより、助産所は嘱託医を確保しやすくなり、安定的な経営が可能となるほか、大病院でのローリスク分娩が減り、緊急時の空きベッドの確保ができ、問題となっている救急車のいわゆる「たらい回し」を減少させることにも繋がると思うが、どう考えるか。

三 妊婦健診について
国は少子化対策のための地方交付税を前年度より増やしてはいるものの、交付税の使い道は各区市町村に任されているため、地域によって助成に格差が生まれている。現に、経済的理由による未健診者は年々増加の傾向にある。この未健診者が飛び込み出産をする際、未健診のため医療機関に拒否される場合があり、その件数は妊婦健診に対する助成回数の少ない県ほど多く見られる。

そこで妊婦健診の公費負担について伺う。

都内区市町村では、里帰り出産などで居住地以外の場所での健診を公費負担の対象としない自治体が約6割、助産所での健診を公費負担の対象としない自治体が約8割ある。
自治体により、里帰り出産などの居住地以外の場所での健診や、助産所の健診などについては、公費負担の対象としての扱いに違いがみられるが、現状をどう考えるか所見を伺う。

四 都立松沢病院における医療観察法施設について
1 全国最初の施設が小平市にできたときは、直接厚生労働省から地元市議会や自治体へ説明があったと聞いている、今回も地域への丁寧な対応は充分にできているのか。

2 この施設の根拠法は、司法と精神科医療の協働した取り組みとして課題と希望を持ったものですが、退院など司法と医療双方の判断が組み合わさる部分の運用はうまくいっているか。

3 退院後は対象者の過去の住居地に戻して診察をしていく、ということであるが、この対応も各県市町村は的確にすすんでいるのか。このことは施設のある自治体にとっては大きな関心事ですので詳細に説明して下さい。

4 この施設は国費での対応はどこまででしょうか。

5 この施設の医師は「人数が多いことを強調しているが、本来なら普通の精神科病棟にこの程度のスタッフがいることは欧米では珍しいことではない、理想とされるべきことだ。」と感想を漏らしています。制度に対する疑問は多々あるが、この感想は前述の「希望」という部分です。このような重度の精神障害者が、多くの専門家の手を経て外来通院在宅療養ができるプロセスを構築されるとしたら、それは1つの理想であります。少し前の話ですが、松沢病院などで急性期に非合法的活動(犯罪歴あり)をしていたような薬物中毒患者を警官でも警備員でもない看護師が取り押さえる危険性に疑問を持つ、というスタッフの意見を聞いたことがある。人数や体制の問題についてこの施設の経験が一般病棟のあり方への改善の試金石になるのではないか伺いたい。


石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

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質問事項
一 首都大学東京の9月入学について
1 大学・大学院における教育・研究レベルを高めるため、首都大での9月入学を推進すべきである。首都大でも、英国で浸透しているギャップイヤーという制度を国に先駆けて導入できないか伺う。

回答
秋季入学については、海外の優秀な人材の大学への受け入れ拡大という観点から意義のあることと認識しており、ご指摘のギャップイヤー制度の導入は、秋季入学の導入により生じる高校卒業後から大学進学までの半年の期間を有効に活用するためのひとつの手法と考えています。
しかし、こうした制度を導入しても、4月入学と秋季入学が共存する中では、入学時期の異なる学生への対応のため、カリキュラム編成に制約が生じるなど、学修環境において学生に不利益が及ぶおそれがあります。
また、高校卒業時期が3月である中で、首都大学東京だけがギャップイヤー制度や秋季入学を導入した場合に、国内での優秀な学生確保という目標と両立できるかという懸念もあり、秋季入学に向けた社会全体としての取組が進むことが重要であると考えます。

質問事項
一の2 大学の9月入学が進まない原因に、卒業後の進路先である企業での受入態勢が整っていないことがある。首都大が企業に対して9月入学の就職を受け入れてくれるよう働きかけできないか伺う。

回答
国の行った調査によれば、企業経営者が考える秋季入学への移行のデメリットとしては、「既存の人事体系、給与体系との調整が困難になる」という回答だけでなく、「事業年度とのズレが不合理」「高卒者の採用とのズレが不合理」という回答も多い状況です。
こうした状況を踏まえると、秋季入学の導入に際しては、年度開始時期の変更について、企業や高校も含めた社会全体の合意ができることが、まず、必要と考えます。

質問事項
一の3 首都大が9月入学に力を入れることは勿論であるが、国公立大学に対してもこうした取組を協働してできないか伺う。

回答
秋季入学導入の手法のひとつとして、他の国公立大学との協働もありますが、他大学において4月以外の入学を導入した学部の入学者数が減少しているという事例もあり、秋季入学に向けた社会全体としての取組が本格化することが、他大学との協働を進めるにあたっての重要な要素となると考えます。

質問事項
二 助産所を包括した地域周産期ネットワークの確立及び緊急搬送体制の整備状況について
院内助産所も含め助産所はローリスクの妊婦を取り扱い、ハイリスクの妊婦は医師が取り扱うというように、医師と助産師の役割分担を明確にし、互いに協力して妊産婦のケアにあたることができるというような環境整備を行政が積極的に進めていくことで、助産所の安定的な経営が可能となるほか、大病院の緊急時の空きベッドの確保ができ、いわゆる「たらい回し」を減少させることにも繋がると思うが、どう考えるか。

回答
都においては、医療連携を進めるツールとして周産期医療機関「連携ガイドライン」を平成20年3月に作成しました。
今後、都内各地域で、この連携ガイドラインを基本に、周産期医療ネットワークグループを立ち上げ、周産期母子医療センター、病院、診療所、助産所等の協力のもと、周産期医療を提供する体制を構築していきます。
こうした取組を通じて助産所と医療機関との「顔の見える関係」づくりが進み、助産所も嘱託医を確保しやすくなるものと考えられます。

質問事項
三 妊婦健診について
自治体により、里帰り出産などの居住地以外の場所での健診や、助産所の健診などについては、公費負担の対象としての扱いに違いがみられるが、現状をどう考えるか所見を伺う。

回答
妊婦健康診査の公費負担の具体的な実施方法については、基本的には、実施主体である区市町村が、地域の実情に応じて、独自の判断によって行っているものと考えています。
都は必要に応じ、こうした区市町村の取組を支援しています。

質問事項
四 都立松沢病院における医療観察法施設について
1 医療観察法に基づく全国最初の施設が小平市にできたときは、地元市議会や自治体へ説明があったと聞いている。都立松沢病院についても、地域への丁寧な対応は充分にできているのか伺う。

回答
精神医療センター(仮称)整備運営事業の実施に当たっては、地元の協力、理解が不可欠であると認識しています。
このため、平成18年10月に本事業の整備計画を公表してから、この間、地元世田谷区や医師会等関係機関に対する説明を行ってきました。また、松沢病院の周辺にお住まいの方を初めとして広く住民の方を対象とした説明会を開催するなど、整備計画の説明や情報提供を積極的に行うとともに、住民の方の意見もお伺いしてきました。
加えて、先般、本事業に関する意見交換の場として、地域連絡協議会を設け、町会長や商店会長といった方々に参加いただくなど、十分な対応に努めています。
今後も、こうした取組によって、引き続き、ご理解、ご協力をいただきながら、本事業を進めていきます。

質問事項
四の2 医療観察法に基づく施設の根拠法は、司法と精神科医療の協働した取組として課題と希望を持ったものだが、退院など司法と医療双方の判断が組み合わさる部分の運用はうまくいっているのか伺う。

回答
心神喪失者等医療観察法に基づく入院や退院などの決定は、裁判所が行いますが、例えば、退院許可の決定手続では、指定入院医療機関の管理者が、保護観察所の長の意見を付して、裁判所に申立てを行い、裁判所は指定入院医療機関の管理者の意見を基礎とし、かつ、対象者の生活環境を考慮して、退院の許可の決定を行います。
このような手続の中で、司法と医療などが密接に連携・協力して、本制度の円滑な運用が行われていると考えています。


質問事項
四の3 退院後は対象者の過去の住居地に戻して診察をしていくとのことだが、この対応は各県市町村で的確に進んでいるのか。施設のある自治体にとって大きな関心事であり詳細な説明を求める。

回答
法務省及び厚生労働省が定めるガイドラインでは、地域社会における処遇への円滑な移行を図るため、対象者の居住地を退院予定地とすることを原則として、保護観察所が退院後の生活環境を調整していくこととなっています。
現在、心神喪失者等医療観察法に基づく入院医療機関や通院医療機関の指定が進められている中、こうしたガイドラインに基づいた退院予定地の調整が的確に進められているものと考えています。

質問事項
四の4 医療観察法に基づく施設は、国費での対応はどこまでなのか伺う。

回答
心神喪失者等医療観察法に基づく入院施設の整備については、法令や厚生労働省の定めた要綱に基づき全額が国費で賄われることとなっていますが、本事業でも、施設整備に要する費用の全額を国費により賄っていく予定です。

質問事項
四の5 病棟における人数や体制の問題について、この施設の経験が一般病棟のあり方への改善の試金石になるのではないか。所見を伺う。

回答
心神喪失者等医療観察法に基づく入院医療では、対象者に継続的に適切な医療を提供し、病状の改善を図り、その社会復帰を促進するという法の目的を達成するため、手厚い専門的な治療を行っていきます。
一方、現在の松沢病院の人員配置は、病棟の性格に応じて、医療法の配置基準を上回って配置するなど、一般の精神科病院に比較して手厚い体制となっています。
このような人員配置や体制については、基本的には、診療報酬制度やその施設基準を総合的に勘案して決めていくものと考えますが、引き続き、必要な人員配置に努め、適切な医療の提供に万全を期していきます。

平成20年第一回都議会定例会

文書質問趣意書

質問事項
一 都営荒川線における観光対策などについて
二 トンネル内の設備について

質問内容を読む

一 都営荒川線における観光対策などについて
 都営荒川線は下町情緒豊かな線路で最も親しまれ、都民の足として1日あたり約5万3千人もの利用者がある。
 また、自動車に比べて排出ガスの量が非常に少なく、電力回生システムにより省エネルギー化され、バリアフリーも行き届いている都電で残っている唯一の貴重な路線である。
 今後も更に多くの日本人や海外からの旅行者の方々にも利用してもらうべくためにどのような取り組みがなされているか伺いたい。

1 政府や都の方針でもある外国人旅行者の誘致政策により、年々海外からの旅行者が増えてきている。現在設置されてある「周辺案内板」等の文字が日本語、英語以外も必要ではないか。

2 「小さな電車でおさんぽ日和」もとても良く出来ていると思う。同じように外国語版も作れないものか。また一般向けにも、都電の駅以外に置かせてもらったらPRに役立つのではないか。

3 停留場の一つに「鬼子母神前」があるが、「きしぼじんまえ」と「きしもじんまえ」と二通りの読み方で通っている。固有名詞はどちらかに統一するべきではないか。同じく「鬼子母神前」の表記はKishibojinとKishimojin、Kishibojinnのように表記の統一性がない。この点もどのように考えるか。

4 国際都市東京には、沢山の外国から観光のみならず、ビジネス、勉強といった目的で集まってくる。今後もこのような利用者は増える一方と考える。乗降口や車内の注意書きや説明がきは多言語で明記する必要があるのではないだろうか。

5 JRとのアクセスは都電において大変重要となる。例えば大塚駅の北口には都電までの導線のサインがあるが、南口のサインは小さくて見えない。また王子駅では導線のサインが全く見当たらない。もっとハッキリ目につくサインが求められるが所見を伺いたい。

6 都電車両を貸出ししているが、最近の状況はどうなっているか。また、貸出し車両については積極的なPRをしているのか、新しく作られた「レトロ電車」が一台あるが、他の電車と貸出し料金が同じと聞く。差があっても良いのではないかと考えるがどうか。

二 トンネル内の設備について
私たち都民にとって、都道は安全な輸送を確保するための大切なライフラインである。日頃にわたり、こうした道路行政全般の当局のご尽力に対して敬意を表します。
さて、東京都地域防災計画の中でも「震災に強い東京を目指して」とうたっていますが、現在、日本は地震活動度の高い時期を迎えている、と専門家は指摘しています。21世紀の前半から半ばまでは、兵庫県南部地震や現在発生が危惧されている、首都直下地震などのマグニチュードクラスの地震が40回から50回発生すると思われます。今後、東京にも関東大震災級の地震が10年以内に30%、30年以内に70%来ると言われていますが、こうした地震にあわせて水の災害、特にゼロメートルやマイナス地盤の墨田区、江東区といった地域や大きな河川の近くでの溢水の時、トンネルでの問題が考えられます。日常でも交通事故は起きますが、これらの際の情報の発信受信がどうなっているのか。

トンネル内で災害や事故等が発生すれば、関係する機関等に連絡をしなければなりません。その際、足の不自由な障害者がトンネル内に設置してある緊急電話を使用したくても、緊急電話の所に行くまでに高低差があり、車イスでは不可能です。

先般、日本における携帯電話の普及が、日本の人口と同じ台数になったと報道されていました。障害者でも自分の手元にある携帯電話で災害や事故の状況を伝えたり、地震の時のラジオやテレビなどの電波が受信可能であれば、その後の生命や火災・水害等に大きな差異が生じてくるといえます。
そこで都道のトンネルについて伺います。

1 都道におけるトンネルはいくつあり、監視カメラ等の設置状況はどうなっているか。
2 携帯電話の送受信が不可能な箇所はどのくらいあるのか、またそうした所については今後どのような対策を考えているのか。
3 国際都市東京には、いろいろな外国人が住んでいるが、こうした人々が判るトンネル内の表示も多言語で表すことが必要と思うがどうか。


石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

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質問事項
一 都電荒川線における観光対策などについて
1 外国人旅行者の誘致政策により、年々海外からの旅行者が増えてきている。都電荒川線を更に多くの方々に利用してもらうため、周辺案内板等の文字が日本語、英語以外も必要と考えるが、所見を伺う。

回答
交通局は、これまでも、都営地下鉄の出口、券売機、トイレなど必要性の高いところに多言語表記を行ってきました。ご指摘の荒川線については、周辺案内地図などで英語表記を行っていますが、その他の言語による表記については今後の検討課題としていきます。

質問事項
一の2 「小さな電車でおさんぽ日和」もとても良く出来ていると思う。同じように外国語版も作れないか。また一般向けにも、都電の駅以外に置いたらPRに役立つと思うが、所見を伺う。

回答
「小さな電車でおさんぽ日和」は、都電沿線の見どころや運賃等のご案内を掲載している路線案内図で、日本語版のみ作成しています。交通局が作成している外国人旅行者向けパンフレットとしては、都営地下鉄の利用案内(英語、中国語、ハングル)がありますが、「小さな電車でおさんぽ日和」の外国語版については、その需要の動向も踏まえ検討していきます。
また、その配布は主に荒川電車営業所で行っていますが、それ以外にも拡大していくことを今後検討していきます。

質問事項
一の3 「鬼子母神前」は、「きしぼじんまえ」と「きしもじんまえ」と二通りあるが、どちらかに統一すべきではないか。また、KishibojinとKishimojinなど表記の統一性がないが、この点について所見を伺う。

回答
寺院の名称は「きしもじん」ですが、停留場の名称は、大正14年の王子電気軌道株式会社時代から「きしぼじんまえ」となっており、また地域でも定着した名称となっているため、今後ともこの名称を使用していきたいと考えています。
なお、「きしぼじんまえ」の表記については、停留場と車内で不統一がありましたのでヘボン式の「Kishibojimmae」で統一したところです。

質問事項
一の4 国際都市東京には、外国から観光のみならず、ビジネス、勉強といった目的で人が集まってくるが、乗降口や車内の注意書きや説明がきは多言語で明記すべきだが、所見を伺う。

回答
荒川線の車両では、LED式車内表示器による次停留場名の英語表示を行っていますが、その他の多言語表記のあり方については、車内の表示スペースが限られているため、今後の検討課題としていきます。

質問事項
一の5 JRとのアクセスは都電において大変重要となる。例えば大塚駅南口の都電までの導線のサインは小さくて見えないなど、もっとハッキリ目につくサインが求められるが、所見を伺う。

回答
乗換案内の重要性は認識しており、わかりやすい案内サインの設置について地権者であるJRに働きかけていきます。

質問事項
一の6 都電車両の貸出し状況はどうか。また、貸出し車両については積極的なPRをしているのか。レトロ電車の貸出し料金が他の電車と同じと聞いたが、差をつけても良いと考えるが、所見を伺う。

回答
都電の貸切は、昨年度に導入したレトロ車両の影響もあり、一般的な利用に加え、テレビや雑誌等の撮影にも利用されるなど、前年度実績を上回っています。
貸切車両の利用については、各種パンフレットに掲載するほか、マスコミ取材などを通じても積極的にPRしています。
レトロ車両については、一般のお客様にも幅広くご利用いただくために、他の車両と同様の貸切運賃としています。

質問事項
二 トンネル内の設備について
1 トンネル内で災害や事故等の発生を鑑みて、都道のトンネルについて伺う。
都道におけるトンネルはいくつあり、監視カメラ等の設置状況はどうなっているか伺う。

回答
平成19年度末現在、都道には113のトンネルがあります。
トンネル内の監視カメラ等の非常用施設については、国が定める「道路トンネル非常用施設設置基準」に基づき、トンネル延長や交通量に応じて48トンネルに設置しています。
これまで、監視カメラを8、非常電話を39、ラジオ再放送設備を26のトンネルに設置し、火災その他の事故発生時の連絡や事故の拡大防止対策を行っています。

質問事項
二の2 携帯電話の送受信が不可能な箇所はどのくらいあるのか、またそうした所については今後どのような対策を考えているのか伺う。

回答
トンネル内における携帯電話の送受信が不可能な箇所、いわゆる不感地の対策については、通信事業者等で構成する社団法人移動通信基盤整備協会が、移動通信サービスの確保を図ることを目的に実施しています。
都道において、トンネル構造物により電波が遮へいされ、携帯電話の送受信が不可能となっているトンネルは、平成19年度末現在で19か所あります。
この19のトンネルについて、同協会に対し携帯電話の不感地の解消を図るよう要望しています。

質問事項
二の3 国際都市東京には、いろいろな外国人が住んでいるが、こうした人々が判るトンネル内の表示も多言語で表すことが必要と思うが、所見を伺う。

回答
トンネル内で火災その他の事故に遭遇した運転者等に情報を提供するための誘導表示板、非常口、非常電話等の表示については、国が定める「道路トンネル非常用施設設置基準」に基づき、図記号等で分かりやすく表示しています。
トンネル非常用施設に係るトンネル内の多言語表示については、今後の検討課題と考えています。

平成19年第四回都議会定例会

文書質問趣意書

質問事項
一 小笠原における東京都版エコツーリズムと世界自然遺産登録について

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一 小笠原における東京都版エコツーリズムと世界自然遺産登録について
環境省では、エコツーリズムの普及・定着のために様々な取り組みを進めている。今年6月に「エコツーリズム推進法」が成立し、エコツーリズムの法的な定義や理念、具体的な推進策(目的:エコツーリズムが〔1〕自然環境の保全、〔2〕地域における創意工夫を生かした観光の振興、〔3〕環境の保全に関する意識の啓発等の環境教育の推進において重要な意義を有することにかんがみ、その基本理念や基本方針の策定その他エコツーリズムを推進するために必要な事項を定めることにより、関係する施設を総合的かつ効果的に推進し、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とします。)が定められ、エコツーリズムの推進にとって大きな一歩となった。

東京都においてエコツーリズムは、観光振興と自然環境の保全との調和を図ることが大きな課題であると考える。貴重な自然が残り、世界自然遺産を目指している小笠原諸島にとっては、今後、観光客が増えることも想定され、資源をどのように守りながら利用していくかが課題であろう。

1 小笠原においては、平成15年以降、東京都版エコツーリズムを行っているが、その目的は何であったのか。

2 小笠原で実施してきているエコツーリズムについて、現時点でどのように成果があり、評価しているのか。

3 世界遺産登録に向けては外来種対策が喫緊の課題であるが、早急に実績を上げなければ、一部の小笠原固有の動植物が絶滅しかねない。推薦書提出という時間的な制約の中で、効果的に外来種対策を行う必要があると思うが、今後どのように取り組んでいくのか。


石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書

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質問事項
一 小笠原における東京都版エコツーリズムと世界自然遺産登録について
1 小笠原においては、平成15年以降、東京都版エコツーリズムを行っているが、その目的は何か伺う。

回答
小笠原諸島南島や母島石門一帯には、他に類を見ない貴重な自然が存在していますが、そうした自然と都民が触れ合うことは意義あることです。
しかし、かつて南島では、多くの観光客の立ち入りなどによって、植生が荒廃し、土砂が流出していました。
そこで、小笠原が誇る南島と母島石門一帯の自然を後世に残せるよう、適正に利用していくことを目的として、「利用人数の制限」「ガイド付の利用」「決められた自然観察路の利用」等のルールを定めて、東京都版エコツーリズムを開始したものです。

質問事項
一の2 小笠原で実施してきているエコツーリズムについて、現時点でどのような成果があり、評価しているのか伺う。

回答
この5年間の事業者、ガイドや関係者と連携しての東京都版エコツーリズムの取組により、観光客は引き続き豊かな自然に触れ合うことができ、南島では植生も回復してきています。そして、自然環境を保全し利活用していくためには一定のルールも必要であるとの意識が、観光客も含め広く浸透してきていると認識しています。

質問事項
一の3 世界遺産登録に向けては外来種対策が課題だが、早急に実績を上げなければ、小笠原固有の動植物が絶滅しかねない。時間的制約がある中で、効果的に対策を行うべきだが、今後の取組を伺う。

回答
外来種対策については、現在の種ごとの対策に加え、今後、新たに、環境省、林野庁、小笠原村と共同して、島ごとに重点的に取り組む内容を取りまとめ、きめ細かに連携を取りながら対策を実施していきます。

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