活動報告
ACTIVITY
都議会報告
平成19年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 島しょ振興の取り組みについて
一 島しょ振興の取り組みについて
1 東京の島々は、自然豊富な広大な海に囲まれ、その海域は小笠原まで含め日本の排他的経済水域の約38パーセント(総面積405.7キロメートル)を占める。こうした状況の中で、島しょの優れた自然環境を生かし、島しょ産業振興として観光の果たす役割は大きい。又 今、旅を通じて自然に対する理解を深めるエコツーリズムも提唱されている。島しょの観光振興を図るには、島の玄関口である港湾において、観光客の乗降の快適性や利便性の向上を図り、島のイメージをアップしていく必要がある。
そこで、港湾局として、観光客の乗降の快適性や利便性の向上に、どのように対応してきているか。
2 港はまた、島への来訪者と島民が触れ合う交流の場でもある。観光客を呼び込む、賑わいのあるまちづくりに港の果たす役割は大きい。乗船、下船の際に、その玄関口となる船客待合所はなるべく船の停泊地に隣接し、観光客の利便性に考慮した配置や機能が求められる。
港において、こうした観光振興に寄与するような様々な取り組みを促進することが必要と思われるが、どうか。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 島しょ振興の取り組みについて
1 島しょの観光振興を図るため、島の玄関口である港湾において、観光客の乗降の快適性や利便性の向上を図り、島のイメージアップをしていく必要がある。港湾局としてどう対応してきているのか伺う。
回答
都では、これまで、地元町村と協働で、魅力ある「島のみなとまちづくり」を進めており、岸壁の拡幅や船客待合所、臨港道路、駐車場の整備等、様々な取組を行ってきています。
最近の具体的な例では、景観や乗降の快適性・利便性に配慮した日除け雨除け施設の整備、地元小中学生による岸壁への壁画、地元の花をデザインした灯台、足湯、鯨のモニュメントなどに取り組み、島のイメージアップを図っています。
質問事項
一の2 港は、来訪者と島民が触れ合う交流の場であり、賑わいのあるまちづくりに港の果たす役割は大きい。観光客の利便性に考慮し、船客待合所を船の停泊地に隣接するなど、観光振興に寄与する取組が必要だが、所見を伺う。
回答
船客待合所は、台風や冬期風浪等の厳しい自然環境に対する安全を確保するとともに、来訪者が快適に利用できるよう整備を進めてきました。今後、こうした施設が、地元町村と一層連携して日常的かつ多目的に活用されることにより、よりにぎわいのあるまちづくりや観光振興に寄与できるものと考えています。
神津島港では、船客待合所と村の離島体験交流施設とを合築して整備する予定で平成19年度工事に入ります。こうした取組により、村のイベントが開催される際に、船客待合所も活用できるなど、多目的な利用が可能となり、観光振興にも大いに寄与できるものと考えています。
引き続き、他の島においても、地元町村と連携し、景観にも十分配慮した、にぎわいや観光振興にも寄与できる港湾施設の整備を進めていきます。
平成19年第一回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 軽度発達障害者支援について
二 北多摩北部保健医療圏の小児救急医療について
一 軽度発達障害者支援について
軽度発達障害者の就労支援をめぐる問題について、大妻女子大学人間関係学部の小川浩助教授がこのように言っております。「軽度発達障害の人が一般企業に就職する場合、企業が障害に対する一定の配慮を行うことが必要である。障害に対してどの程度配慮できるかどうかは、障害のある人の能力とともに就労成功の重要な要素となる。多くの従業員を雇用管理する企業の立場からすると、公的に障害者と認定され、障害者雇用率の対象となる人であれば一定の配慮を行うことはできるが、障害者手帳を持たない人に対してあいまいな根拠で配慮をすることは困難である。極端に言えば、障害に対する配慮が必要であれば、手帳を取得して、障害者雇用枠で就職することが無難であり、障害者であることを職場で公表したくなければ、通常の競争原理の中で働く覚悟が必要となる」
知的障害者を対象とする療育手帳の交付基準は、県によっては若干異なっているようである。一部では、自閉症の診断を受けた児・者については、境界線級まで療育手帳を交付している例もあり、支援の必要性に合致した運用として成果を上げている。軽度発達障害のある人が雇用率対象に含まれるためには、このように境界線級を含めた療育手帳交付を進めることも一つの方策であると考える。」
「軽度発達障害のある人の就労支援の課題は多岐にわたり、その問題解決には、自閉性障害についての専門知識が必要とされる。今後、研修の実施などを通して、障害者職業センター、ハローワーク、就業・生活支援センター、地方自治体の就労支援事業、発達障害者支援センターなどに軽度発達障害に関する専門性を持った就労支援専門職員をふやしていくことが必要である」
「軽度発達障害のある人の社会適応は就労の成功がかぎとなる。職業生活に適応できず就労困難となった人は、知的障害者や精神障害者の福祉サービスには居場所を見つけることができず、結果、家庭での引きこもりに至ることも少なくない。生活面の問題を深刻化しないためにも、学校生活から職業生活への移行を支援していくことが必要となる。そのためには、就労支援の分野だけではなく、早期の診断、障害受容、教育、職業訓練などを含むライフサイクルに即した一貫した支援が必要である」
このように述べております。このようなことを十分考えていただいて、これからの東京都における発達障害児・者の施策について伺います。
1 雇用する側、される側の視点に立ち、療育手帳の申請相談の中で、予算的な課題もあるだろうが、希望があれば、障害者として認定する方策は考えられないのか。
2 今後、研修の実施などを通して、障害者職業センター、ハローワーク、就業・生活支援センター、地方自治体の就労支援事業、発達障害者支援センターなどに軽度発達障害に関する専門性を持った就労支援専門職員は現在配置されているのか。また、ふやしていくことは考えられるのか。
3 神奈川県では、学校で一番力のある先生でもあるコーディネータが特別支援教育について、担任をやりながらでは忙しくてその実力を発揮できないため、平成19年度から7億1千万の予算をつけ教員を雇い、授業の肩代わりを出来るような体制を整え、専任でコーディネータの仕事を出来るようにするという。東京都も、特別支援教育コーディネータ(教育支援コーディネータではない)について、保護者から「現場の先生を忙しくさせる研修ではなく、具体的な検討事例を含めた研修を実現してほしい」「親との接触が何もないことに不安を感じている」「障害理解には当事者の話を聞くことが一番大切だと思うが公的研修だけで大丈夫だろうか」との声も上がっており、同様の施策の実現が望まれるが、見解は如何。
4 小平市では指定学校変更許可及び区域外就学承諾に関する審査基準において、区分の2番目に身体的理由が書かれているが、各方面の医師や幼稚園教諭、訓練士等から、高機能広汎性発達障害の障害特性ゆえ、刺激が多いと勉強に集中できないのでクラスの人数の少ない小学校に行くことを強固に勧められている場合でも、市教委もこの障害を基準に適用させることができない場合が多い。故に、東京都の施策で軽度発達障害児が在籍する学級の児童数を若干抑えることが出来ないか。例えばそのクラスに限り30人以下にする。また、その児童を2名分とカウントし、1学年が80名ならその子がいるとカウント上は81名となり3クラス編成ができるようになるなどが考えられるが。
5 地域の方からの話によれば、能力が高くても支援が足りずに普通学級にいられなくなった児童は生活のための学習を続けることになる。障害児教育自体は生活の訓練であり、その子に合わせるというのも良いけど、ここまで持っていくというものがなく、能力の高い児童がこのままの教育を受けると、本当はやればできることもやらずに終わってしまうと危惧されている。最近、都立の養護学校は職業訓練型の学校も含め、愛の手帳の提示を求めるようになっており、知的に遅れのない場合、入学が難しいと言われている。小平市で増えている、知的に遅れがなさそうな児童が心障学級に多いということは、障害児教育を受けたため高校入試は学力的に無理で、発達検査の結果が高く「愛の手帳」がなく、養護学校も入れない、中学校を出てもどこにも進学できないのではないかと親御さん達は心配している。小・中ともに保護者の方は、「障害者は労働者たり得る、そのための公的な支援、教育なのではないか」という意識で、子どもの能力開発をしたいのに、そのような就学の機会がなく、一般事務が出来るだけの学習面の教育がされず、現状では問題が多すぎると見ている。発達障害の自閉の子が固定の心障級にいくと勉強の習慣がつかない、作業しか教えないことで能力開発ができなかったなどの声もよく聞きます。普通級から心障級に転学したお子さんの保護者は、小学校3年生まででも子どもの能力はIQも含めてぐんと伸びるので、ぜひ、可能性をもたせてほしいと言っております。
そして、現場の心障級の先生がちゃんと勉強する機会を保障して欲しいということも言っております。中年以上の先生ほど分かっておらず、勘に頼りすぎるので、子どもに対する、障害特性やそれに伴う教育支援のあり方を、先入観を持たずに知って欲しい。先生方は学校の雑務に忙殺されているが、市は教員の人材養成にもっと力を入れて欲しいと皆さん言っておられます。
東京都教育委員会は、児童相談所の判定で、「愛の手帳」が出ず、発達検査でも知的障害が認められない児童が心障学級に行くことについて、どのような認識をもっているか。この陥穽をどのように埋めようと考えるか。静岡県では固定級において、知的障害学級と情緒学級を分け、それぞれの障害特性に応じた教科教育やソーシャルスキルの訓練を行っている。東京都でも同様の施策を実現できないか。
6 通級学級設置校の児童については、市区町村内全域の対象児童を数校の通級学級で受けているの場合が多いと思うが、区域の各校の児童を公平に受け入れているとは言い難い。自力通学が出来るか出来ないかという1つの能力の有無で、支援の必要な児童・生徒を安易に切り捨ててはいないだろうか。通級はそもそも入級資格に関して明記されたものがなく、人によって話も違っており、いつ募集があり、決定されるのかを公表していない。また、通級を希望しても、学務課に相談も見学も断られる児童・親がいる。どんなに医者や訓練士から通級を勧められても、知的に境界線上にいる子どもの多くは、入級対象外とされているケースも見受けられる。通常の授業を抜けて通級指導を受けても勉強が遅れないようにするためとの説明もあるが、親御さん達にとっては、「支援の価値なし」と思われているようだとのこと。これらの児童・生徒に対して放置するのではなく、何らかの具体的な教育支援をとるべきだと考えるが東京都の見解を問う。
7 また、通級の入級資格の透明性を図り、通級設置校・非設置校の如何に関わらず現状の人数の偏りについて平等性を確保し是正を行うべきだが、見解を問う。質問というより提案ですが、障害特性に応じた通級と同じような教室を、特別な支援を必要とする子がいる全学校に設置すべきではないか。無論それが出来ないから通級なのだという話もわかるが、通級設置校以外の通級児童の親御さん方から指摘される不公平や不平等性、子どもの片道20分以上も一人きりで歩かねばならない自力登下校の安全面、先生方の送り迎え、親御さんの送り迎え、ルート上にバスを走らせることなどの全てのコストパフォーマンスを比較考慮しても、特別な教育支援を必要とする子どもがいる全学校に加配なり何なりして、逆に通級の先生が巡回したってかまわないのだから、子どもが移動する必要がない指導学級の制度も意を尽くして、考えるべきだがどうか。簡単に言えば、各校においても通級設置校と同様に、もっと簡易に支援を受けられるようにならないか。通級設置校の児童は、診断を受けていない児童でも在籍校と言うだけで、休み時間や放課後を利用して簡単に指導を受けられる。都の責任で通級の増設を可能にできないか。
8 また、今後も通級への入級希望者が増え続けることが予想されるが、各校の定員を超えた場合の対策は考えているか。また指導教員の数が不足しているのではないかとの声もあるがどうか。さらに、各通級指導学級の指導教員は専門的な知識や研修を積んだ教員が少なく、通常学級の担任からの移行が多いように思われ、また自主的に研修を積んでいる教員がいる一方、障害の特性を理解しまいまま、指導に当たっている教員がいる現状を把握しているか。
二 北多摩北部保健医療圏の小児救急医療について
夜間・休日に子どもが急な病気になった際、診療してもらえる医療施設があることは子どもを持つ親にとって切実な要求である。
小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の5市から構成される、北多摩北部保健医療圏においても、夜間・休日の小児医療の確保は重要な課題となっている。
これまでこの地域の小児医療に大きな役割を果たしてきた都立清瀬小児病院は、平成22年3月に府中市に小児総合医療センター(仮称)として移転統合される予定となっており、その後の小児医療とりわけ小児救急医療の確保はこの保健医療圏において大きな問題となってきた。
このため、都では、多摩北部医療センター(旧都立多摩老人医療センター)に小児科を設置、平成17年6月からの休日・全夜間診療事業(小児科)参画など、同医療センターの二次救急医療機関としての体制整備を進めてきた。
一方、圏域各市においては、地元医師会の協力を得て、平成17年1月から小平市が、同年6月からは東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の4市が共同で小児初期救急診療事業を立ち上げ、また、圏域5市及び5市医師会その他の関係者が集まり、圏域の小児初期救急医療体制について検討を行う会議を定期的に開催するなど、市の枠組を越えて協力し、小児救急医療体制の確保に取り組んできた。
しかしながら、清瀬小児病院がこれまで地域で担ってきた役割の大きさを考慮すると、多摩北部医療センターの小児科の更なる体制充実とともに、現在、各市が実施している初期救急診療事業についても拡充が必要と言わざるを得ない状況にある。加えて、小児科医師の確保難から、この圏域においても小児科の二次救急医療機関が夜間・休日の小児救急医療を休止する例も出ており、地元各市の関係者の危機感は大変強いものとなっている。
こうした状況の中、先ごろ各市は地元医師会と協力し小児初期救急診療事業の拡充を進める方向を確認し合い、4市共同で実施している小児初期救急診療事業においては、現在多摩北部医療センターでの診療日数を拡大するとともに、新たに西東京市内においても実施拠点を設けることとした。
この方針については、清瀬市と東京都における地域の小児医療の確保に関する協議においても検討がなされ、都も初期救急医療体制の整備について、地域の意向に配慮した支援を行っていくとされている。
各市は、圏域の小児初期救急体制の充実に向け取り組んでいくにあたり、市の取組に対し都の十分な理解と支援を求めることが必要であるとして、本年1月、5市市長が連名で都への要望を行い、その中で「北多摩北部圏域における総体的な小児医療体制の底上げに向けた支援」を求めている。
1 都は、5市市長が一体的に要望を行った意義についても重く受けとめ、小児初期救急診療事業の拡充などの各市の取組に対する支援を講じていくべきである。5市市長からの「北多摩北部圏域における総体的な小児医療体制の底上げに向けた支援」の求めに対し、都はどのように取り組んでいくのか伺う。
比較的軽症な患者に対応するための初期救急医療体制の整備を進める市の取組は重要であり、都として十分な支援を行うべきと考えるが、一方、入院が必要な症状の重い患者をいざという時に受け入れられる、しっかりとした二次救急医療体制も地域にとっては不可欠である。
2 地域の二次救急医療機関として多摩北部医療センターが期待される役割は大きく、そのため同医療センターの小児科の体制充実は、地域の安心を得るためにも重要である。5市市長の都への要望においても、「多摩北部医療センターにおける需要に見合った小児科医師の配置」を求めているが、都としてどう取り組んでいくのか伺う。
北多摩北部保健医療圏の小児救急医療体制整備については、今後、都と地元市、医師会、地域の医療機関等の関係者が力を合わせて、実際の体制づくりを行っていくこととなるが、その取組にあたっては、どこかにしわ寄せがいくような仕組みとならないようにする目配りも必要である。
この圏域に限られることではないが、より安全で安心できる小児救急医療が提供されるためには、診療にあたる医師の側の環境についても配慮が必要であり、新聞報道等で取り上げられるような、救急病院の小児科医師が長時間労働などの勤務環境の苛酷さに耐え切れずやめていってしまうということを防ぐシステムづくりにも目を向けることが求められる。
その一つは、小児科の診療に携わる医師にインセンティブを与えるような待遇や勤務環境の改善を通じて医師の安定的な確保を図ることであり、それに向けた抜本的な方策について都が他に先駆けて取り組むことを私は強く期待している。
また一方、一部の医師に負担が集中しないよう、限られた医療資源ともいえる小児科医が協力して、地域の小児医療を支えるシステムの構築も重要である。
3 小児救急医療に携わる医師の安定的な確保について、都の考えを伺う。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 軽度発達障害者支援について
1 軽度発達障害者の就職には、企業の配慮が必要だが、療育手帳を持たない人への配慮は困難である。雇用の視点に立ち、手帳申請相談で、障害者認定する方策は考えられないか伺う。
回答
愛の手帳は、「東京都愛の手帳交付要綱」に基づき、明確な判定基準にのっとって、知的障害者を対象として交付しています。
このため、本基準に該当しない方を、障害者として認定することは困難です。
質問事項
一の2 障害者職業センター、ハローワーク、発達障害者支援センターなどに軽度発達障害の専門性を持った就労支援専門職員は現在配置されているのか。また、増やすことは考えられるのか伺う。
回答
東京都発達障害者支援センターにおいては、現在、4名の専門職員が、発達障害者及びその家族等に対し専門的な助言や就労支援等を行うとともに、関係機関への普及啓発等を実施しています。また、障害者就業・生活支援センターや区市町村障害者就労支援事業、国の東京障害者職業センターやハローワークでは、障害者の就業を支援する職員を配置し、発達障害を含むすべての障害種別に対応した就労支援を実施しています。
都では、現在、発達障害を含めた障害者の就労支援に関する専門性の向上を目的として、都や区市町村の各就労支援機関の職員に対して研修等を実施しています。
質問事項
一の3 神奈川県では、平成19年度から特別支援教育について、コーディネーターが専任で仕事ができるような体制を整えるという。同様の施策の実現が望まれるが、見解はいかが。
回答
小・中学校における特別支援教育コーディネーターについては、国は、いわゆる義務標準法において専任として位置付けておらず、また、都教育委員会としても、特別支援教育コーディネーターを校務分掌の一つと位置付け、すべての教員が発達障害等障害を理解し、協力して組織的に一人一人の児童・生徒の指導や支援に取り組むべきものと考えています。
なお、区市町村教育委員会における特別支援教育を支援・推進していくため、平成19年度より、小・中学部が設置されている知的障害養護学校の教員が計画的に地域の小・中学校を訪問し、支援することができるよう、必要な非常勤講師の配置や旅費に係る予算措置をしています。
質問事項
一の4 小平では、指定学校変更許可基準等により、医師などから少人数クラスの学校を勧められても実現できない場合が多い。都の施策で軽度発達障害児が在席する学級の児童数を抑えることができないか伺う。
回答
都教育委員会としては、学級には一定規模が必要と考えており、引き続き、現行の学級編制基準に基づき対応していきます。
なお、区市町村教育委員会においては、通常の学級に在籍する学習障害等の児童・生徒への対応も含め、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など小・中学校における特別支援教育の推進体制の整備を進めており、都教育委員会としても、特別支援教育体制モデル事業等の成果の提供等を通じ、区市町村教育委員会を支援しています。
質問事項
一の5 都教委は、愛の手帳が出ず、知的障害が認められない児童が心障学級に行くことをどう認識しているか、静岡では障害特性に応じた教科教育等を行っているが、都でも実現できないか伺う。
回答
小・中学校の特別支援学級については、学校教育法等に基づき、障害のある児童・生徒を対象としており、知的障害特別支援学級については、愛の手帳の有無に関わらず、知的障害のある児童・生徒を対象としています。
なお、特別支援学級については、学校教育法等に定める障害のいずれを対象とするかを含め、区市町村教育委員会の判断により設置するものです。
質問事項
一の6 通級は入級資格を明記したものがなく、通級を希望しても入級対象外にされるケースもある。これらの児童・生徒を放置するのではなく、具体的な教育支援をとるべきだが、見解を問う。
回答
小・中学校の特別支援学級のうち、通級指導学級の対象となる児童・生徒については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会において、学校教育法施行規則等に基づき、様々な観点から総合的に判断しています。
なお、区市町村教育委員会においては、通常の学級に在籍する学習障害等の児童・生徒への対応も含め、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など小・中学校における特別支援教育の推進体制の整備を進めており、都教育委員会としても、特別支援教育体制モデル事業等の成果の提供等を通じ、区市町村教育委員会を支援しています。
質問事項
一の7 通級の入級資格の透明性を図り、平等性を確保し是正すべきだが見解を問う。各校でもっと簡易に通級設置校と同様の支援を受けられないか。都の責任で通級の増設を可能にできないか。
回答
小・中学校の通級指導学級については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会の判断により設置され、都教育委員会としては設置の同意を行うものです。
なお、通級指導学級の対象となる児童・生徒については、各区市町村教育委員会において、学校や家庭における状況、専門的な検査など様々な観点から総合的に判断するものですが、都教育委員会としても、通級指導学級への入級も含め、障害のある児童・生徒の就学相談に関し、区市町村教育委員会に対する支援を行っており、保護者の理解が得られる就学相談の充実のため、引き続き取り組んでいきます。
質問事項
一の8 今後も入級希望者が増えると思うが、定員を超えた場合の対策は考えているか。指導教員不足との声もあるがどうか。通級指導学級で障害の特性を理解していない指導教員がいる現状を把握しているか伺う。
回答
小・中学校の通級指導学級については、小・中学校の設置者である区市町村教育委員会において、地域の状況等も踏まえつつ、設置されるもので、都教育委員会としては設置の同意を行うものです。
なお、都教育委員会においては、通級指導学級での研究授業等へ講師として指導主事を派遣したり、東京都教職員研修センターにおいて、特別支援教育に関する教員研修を実施し、また、区市町村教育委員会においても研修等を実施するなどして、指導教員が障害のある児童・生徒の理解を深めて、指導しています。
質問事項
二 北多摩北部保健医療圏の小児救急医療について
1 都は、5市市長が一体的に要望を行った意義についても重く受けとめ、小児初期救急診療事業の拡充などの各市の取組に対する支援を講じていくべきである。5市市長からの「北多摩北部圏域における総体的な小児医療体制の底上げに向けた支援」の求めに対し、都はどのように取り組んでいくのか伺う。
回答
都は、区市町村が行う住民に身近な場所で小児初期救急医療を確保しようという取組に対して、地域の実情を踏まえながら、小児初期救急平日夜間診療事業補助により支援しています。
北多摩北部保健医療圏の5市の要望についても、小児初期救急平日夜間診療事業補助の活用とともに、入院治療が必要な小児患者に対しては、休日・全夜間診療事業(小児科)による二次救急医療体制の確保などを通じ、総体的な小児医療体制の底上げに向け引き続き支援していきます。
質問事項
二の2 二次救急医療機関として多摩北部医療センターへの期待は大きく、小児科の体制充実は重要である。五市の要望でも、需要に見合った小児科医師の配置を求めているが、都としてどう取り組むのか伺う。
回答
清瀬小児病院の移転後に、地域住民が安心して適切な医療を受けられるよう救急医療を含む小児医療体制を確保するためには、多摩北部医療センターが小児医療に関して地域の中核的役割を果たしていくことが不可欠であると考えています。
そのため、小児科医師の確保については重要な課題と考えており、多摩北部医療センターを運営する東京都保健医療公社とも連携しながら、引き続き努力していきます。
質問事項
二の3 一部の医師に負担が集中しないよう、限られた医療資源ともいえる小児科医が協力して、地域の小児医療を支えるシステムの構築も重要である。小児救急医療に携わる医師の安定的な確保について、都の考えを伺う。
回答
都は、小児初期救急診療事業によって地域の小児科医が協力して小児救急医療を支える仕組みづくりを推進するとともに、親の不安を軽減するため、小児救急電話相談や東京都こども医療ガイドでの普及啓発を行い、一部の救急医療機関への夜間の患者集中の緩和を図っています。さらに、「開業医小児医療研修」の実施により、地域の小児医療基盤の確保についても既に取り組んでいます。
また、国に対しては、小児救急医療に係る診療報酬や医師の勤務環境の改善を通じ、小児科医師を十分に養成・確保することを提案要求しています。
平成18年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 配偶者暴力被害者支援について
一 配偶者暴力被害者支援について
配偶者暴力問題は、被害者に対する支援や援助を主に民間の支援団体などが中心となって地道に活動し、加害者などからの脅威や被害者などに向けられる偏見などに負けず、努力してきたことが社会的にも認知されてきたものです。
民間団体などの人権擁護や男女平等にも係る問題意識が実を結び、国を動かして5年前に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下、配偶者暴力防止法という。)」が制定され、これまで全国的に配偶者暴力に対する取組みが行政の中でも推進されてきました。
都においては、平成16年12月の配偶者暴力防止法改正に基づき、平成18年3月に「配偶者暴力対策基本計画(以下、基本計画という。)」を策定し、区市町村を含めた行政の配偶者暴力対策の方向性を示し、都内全域における配偶者暴力被害者支援についての施策を打ち出しています。
この計画でも示されているように、被害者支援は行政の対策だけでなく、NPOやボランティアを含む民間団体が相談をはじめとする被害者に対するきめ細やかな支援に取り組んでいます。私は、そこで活動する方々から、仕事の内容や被害の実態についての話を聞くにつれ、その困難性と複雑さを痛感しているところです。
都は、今回策定した基本計画の中で様々な角度から、被害者への相談対応と自立支援等多くの施策を示しています。しかし、相談や支援の現場で活動している民間団体の皆さんの話を聞き、配偶者暴力対策についてはまだまだ多くの問題があると考えています。そこで、配偶者暴力対策に対する都の施策や支援に関して、何点か質問します。
1 相談体制の充実について
ア 配偶者暴力被害者が相談をしようと身近な区市町村の相談窓口に行ったとき、その区市町村により相談対応が違っていると聞いています。被害者の置かれた状況は区市町村によって差があるわけではありません。被害者がどこの区市町村に居住していても、被害者相談が一定の水準で受けられなくてはなりません。そのためには都がガイドラインを示すべきであると考えますが、如何ですか。
イ また、被害者相談を受ける相談員の多くは、一般的な相談業務の経験はあっても、DVに関する知識や被害者支援の経験が十分ではないというのが実態ではないかと思います。DVの特殊性を理解したうえで対応しなければ、二次被害も起こってしまいます。適切な支援を行うために、研修体制の充実が望まれますが、考えを伺います。
2 一時保護の充実と広域利用について
ア 都では、福祉事務所やウィメンズプラザ、女性相談センターなどでの相談を通じて、状況や緊急性に応じた一時保護を実施しているようですが、その場合の判断について、都としての考えを伺います。
イ また、配偶者暴力被害者の安全確保にとって、警察が果たす役割は重要だと考えますが、被害者の一時保護を所管する局では、警察とどのような連携を図っているのでしょうか。お答えください。
ウ 配偶者暴力被害は大人だけではなく、その家族である子どもの心身にも大きな影響があります。一時保護された配偶者暴力被害女性は子どもを連れて逃げてくる場合が多いと聞いていますが、一時保護期間中、都ではそのような同伴児への支援をどのように行っていますか。
3 被害者の生活再建と自立のための支援について
ア 配偶者暴力のひとつの特徴として、加害者から避難した被害者の多くは暴力等の影響により、心身が不安定になることが多く見られます。そうした中で、被害者が安心して受けられる相談やカウンセリングなどは、本人の心身の安定を図り、自立への意欲を喚起する上でも、不可欠なものであると思います。暴力から逃れてきた女性など、経済的にも困窮している被害者が安心して受けられる公的機関のカウンセリングの充実が必要であると考えますが、伺います。
イ 自立支援には、心身のケアだけでなく生活の再建ということも含まれます。家を出た被害者には着の身着のまま、飛び出してきたケースもあり、一時保護などの後、自立して生活を営むまでには相当の時間と本人を含む関係者の努力が必要となります。自立を考えるときにはまず、住居の問題が発生します。現在、都では都営住宅の優先入所などの制度も整備されつつあるようですが、まだ十分ではありません。更なる充実を図っていただきたいと思います。住居の問題の次には、経済的な問題が生じます。生活保護などの受給も支援のひとつではありますが、いつまでも公的機関に頼るのではなく就職し、自らの手で糧を得る、真の自立を望む被害者も多いと思います。そうした自立を促すためには、まず、就業支援が必要です。加害者から逃れるために偽名などを使って生活をしている被害者が、安心して就労に役立つ職業訓練や就労にあたっての支援を受けられる体制があるのか、または、そのような仕組みについての検討がなされているのか、伺います。
ウ また、暴力を受けている被害者には子どもがいるケースが多い状況にあります。配偶者暴力のある家庭で育った子どもは、子ども自らも虐待を受けていたり、身体的な虐待などがない場合でも目撃などにより精神的に不安定であることが多いと聞いています。配偶者暴力被害者の支援を行っているときに、こうした子どもに対するケアは見過ごされがちだと思われますが、そのケアは子どもの将来を考えると非常に重要なものであると考えます。この、子どもたちのケアについて、都の考えを伺います。
4 被害者の支援にかかる関係機関の連携について
ア 配偶者暴力相談、被害者支援にあたっては、都だけでなく区市町村などの自治体や民間団体、警察など多くの関係機関との連携が必要になってくるものだと考えます。都の基本計画では、関係機関・団体との連携の推進を目標に掲げており、被害者支援にかかる体制強化を推進していくものであると期待をしています。配偶者暴力被害者にとっては、加害者から逃れた場合も、加害者との生活を継続することを選択した場合も、様々な支援体制が必要となることから、地域に密着した区市町村と広域的な行政関係機関の連携による支援が重要だと考えます。都は、被害者支援に係る連携の促進についてどのように考えているのか、伺います。
イ また、加害者から逃れた被害者は、加害者の手が伸びないよう、できるだけ遠くに逃れる場合があります。そうしたとき、知り合いもない場所で生活することになり、気持ちが沈むなど引きこもりがちになるケースもあると思われます。そのようなときには、何らかの社会と関わりを作るきっかけが必要だと考えます。民間の支援団体は、相談や被害者支援を行う中で、きめ細やかに対応しており、この点においても積極的に活動しています。行政においてはボランティアや少ない資源の中で活動しているこうした団体への支援が必要であると考えますが、都の考えを伺います。
5 配偶者暴力等の未然防止と啓発について
改めて言うまでもなく、配偶者暴力、いわゆるDVは、昨今様々な場面で問題になっています。今まで行政においては被害者支援に重点が置かれ、様々な施策が講じられていますが、その原因となっている暴力加害者対策にも力を入れていくべきであると考えます。配偶者暴力被害を増やさないためには、加害者を増やさないこと、すなわち、教育と未然防止施策が不可欠ではないかと考えます。
最近では、電車や学校内などで相手を小突くなどの暴力や、メールなどのチェックや行動制限を行うなど、高校生や大学生のカップルにおいても暴力が存在しており、加害者においては、自分の行為が暴力であることにも気づかないものが多いと聞きます。いわゆるデートDVと呼ばれるこの問題は深刻化していますが、きちんと教育し、正しい知識を普及することで、暴力の防止につながるものであると考えます。都においては、若年層に向けた暴力の未然防止及び啓発について、どのように考えているか、伺います。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 配偶者暴力被害者支援について
1 相談体制の充実について
ア 配偶者暴力被害者への相談対応が、区市町村により違っている。被害者相談が一定の水準で受けられるよう、都がガイドラインを示すべきだが、いかがか。
回答
配偶者暴力被害者支援を担う関係各機関が連携し、被害者に対して適切な対応を取ることを目的として、都では「配偶者暴力被害者支援基本プログラム」を平成18年3月に作成しました。
このプログラムは、相談から自立に至る段階に応じて、関係機関の機能や役割を体系的に示しており、被害者の状況や意思に基づいて関係機関が適切な支援を行う際のマニュアルとしても利用できる内容となっています。
区市町村の相談窓口など支援機関に対してもこのプログラムを配布しており、引き続き活用についての周知を図り、相談をはじめとする支援体制の充実に努めていきます。
質問事項
一の1のイ 相談員の多くはDVに関する知識や被害者支援の経験が十分でないのが実態ではないか。適切な支援を行うため、研修体制の充実が望まれるが、考えを伺う。
回答
相談を含め被害者支援を行う者は、二次被害を起こさないことはもちろん、被害者の立場に立って、慎重に対応することが必要です。
東京ウィメンズプラザにおいて、相談員を対象とした相談員養成研修や関係機関の職員等を対象とした職務関係者研修を実施するほか、複雑な事例の円滑な解決を図るため、専門家による指導助言を行うスーパーバイズなど、相談対応能力の向上に努めています。
今後とも、被害者への適切な支援を行うため、相談員等に対する研修の充実を図っていきます。
質問事項
一の2 一時保護の充実と広域利用について
ア 都では、福祉事務所やウィメンズプラザ、女性相談センターなどでの相談を通じ、状況や緊急性に応じた一時保護を実施しているが、その場合の判断について伺う。
回答
配偶者暴力被害者の一時保護は、都の配偶者暴力相談支援センターのひとつである女性相談センターの一時保護所で行うほか、民間の婦人保護施設などに委託して実施しています。
一時保護は、被害者の生命の危険性や、家庭生活の継続の可能性などを総合的に検討し、被害者の意思を確認した上で行っています。
また、一時保護を行う場所は、被害者の心身の状況や、配偶者等の勤務地、居住地などを考慮して決定しており、配偶者等からの追及が激しい場合などは、公的な機関である女性相談センターで一時保護することを基本としています。
質問事項
一の2のイ 配偶者暴力被害者の安全確保にとり、警察が果たす役割は重要である。被害者の一時保護を所管する局では、警察とどのような連携を図っているのか伺う。
回答
配偶者暴力被害者の一時保護期間中は、配偶者等からの暴力防止及び被害者の保護の観点から、警察と密接に連携していくことが重要です。
こうしたことから、女性相談センターの一時保護所では、配偶者等による付近のうろつきやつきまといの行為が予想される場合などには、地元警察に対してパトロールの強化を依頼しています。
また、一時保護期間中の被害者が、荷物を取りに一時帰宅する際、警察官による同行の協力を得るなど、被害者の安全確保に努めています。
質問事項
一の2のウ 配偶者暴力被害女性は、子どもを連れて逃げてくる場合が多い。一時保護期間中、都では同伴児への支援をどのように行っているのか伺う。
回答
配偶者暴力被害者の同伴児は、これまでの生活環境の影響から、強い緊張感や恐怖心を抱いていることが多いため、落ち着いて生活できるよう、心身の負担感を取り除くことが必要です。
このため、一時保護所の入所時に、医師がけがや病気の状況を確認した上で、一時保護期間中は、心理療法担当職員等が心のケアや親への助言を行うほか、必要に応じて児童相談所と連携しながら、同伴児の状況に応じたきめ細かな支援を行っています。
さらに、女性相談センターでは、専用スペースを設け、保育士資格を持つ者が保育に当たるとともに、小学生以上の子どもには職員やボランティアによる学習指導を実施するなど、同伴児が安心して生活できるための環境を整えています。
質問事項
一の3 被害者の生活再建と自立のための支援について
ア 被害者の多くは、暴力等の影響により心身が不安定になる。暴力から逃れてきた女性など、経済的にも困窮している被害者が安心して受けられる公的機関のカウンセリングの充実が必要だが、所見を伺う。
回答
配偶者暴力被害者が暴力の影響から立ち直り、自立した生活を再建していくためには、心のケアが重要であると考えています。
都においては、地域で自立生活を送ろうとする被害者の心理面での健康回復を目的として東京ウィメンズプラザで精神科医師による面接相談を行っているほか、精神保健福祉センター等の相談機関においても相談に応じています。
また、東京ウィメンズプラザで実施する自立支援講座の中で、精神的な不安を解消するための具体的なアドバイスなど心のサポート等も行っています。
質問事項
一の3のイ 偽名を使用している場合でも被害者が安心して職業訓練や就労支援を受けられる体制があるのか、仕組みの検討がなされているのか伺う。
回答
配偶者暴力被害者の就労を支援するため、東京ウィメンズプラザにおいてパソコン技術の習得を支援するIT講座の開催や、自立支援講座の中で就労に関する情報提供などを行っています。
また、都立技術専門校において、求職者向けの公共職業訓練を実施しているほか、母子家庭の母等を対象とした職業訓練を実施しています。
これらの就労を支援する講座等に通う場合には、申請時の手続きにおいては本名で行うことが必要になりますが、配偶者暴力被害者等事情がある方については、希望により仮名を使用することもできます。
連絡先など個人情報については情報管理を徹底し、今後とも被害者が安心して受講できるよう努めていきます。
質問事項
一の3のウ 配偶者暴力のある家庭で育った子どもは、自らも虐待を受けていたり、目撃により精神的に不安定なことが多い。子どもたちのケアについて、考えを伺う。
回答
配偶者暴力は子どもにも大きな影響を与えており、配偶者暴力のある家庭にいる子どものケアは、大きな課題であると認識しています。
このため、平成18年度から東京ウィメンズプラザにおいて、子どもを対象に遊びを通じて心の傷の回復を図る講座を継続的に実施しています。
また、被害者とその子どもを支援する関係機関が共通の認識を持って対応することができるよう、それぞれの役割を明確にし連携を図るための「子どものケアプログラム」の作成に取り組んでいます。
質問事項
一の4 被害者の支援に係る関係機関の連携について
ア 配偶者暴力被害者には様々な支援体制が必要であり、地域に密着した区市町村と広域的な行政関係機関の連携による支援が重要である。被害者支援に係る連携の促進についてどう考えているのか伺う。
回答
配偶者暴力被害者に対しては、相談から生活の再建に至る各段階に応じて、都をはじめ区市町村等の関係機関が総合的に支援に取り組む必要があります。
都は、これまでの施策推進のための会議と実務上の連携を行う会議を発展的に再編統合し、より緊密に連携し適切な被害者支援を行うために「配偶者暴力対策のためのネットワーク会議(仮称)」を設置する予定です。
今後、都における広域連携ネットワークを構築し、関係機関の円滑な連携を促進していきます。
質問事項
一の4のイ 民間の支援団体は、相談や被害者支援を行う中で、きめ細やかに対応している。ボランティアや少ない資源で活動している団体への支援が必要だが、考えを伺う。
回答
民間団体はそれぞれ独自の立場から相談や一時保護など様々な活動を行っており、被害者支援に重要な役割を果たしています。
こうした民間団体に対しては、活動するための場の提供や、人材育成の支援のほか、民間団体の支援活動に対して経費の一部を補助するなど、多様な支援を行っています。
質問事項
一の5 高校生や大学生のいわゆるデートDV問題が深刻化しているが、きちんと教育し、正しい知識を普及することで暴力防止につながる。若年層に向けた暴力の未然防止及び啓発について、どう考えているか伺う。
回答
配偶者暴力のない社会を実現するためには、未然防止が重要であり、基本計画においても「暴力の未然防止と早期発見の推進」を掲げています。
これまでも、高校生や大学生などの若年層を対象に、男女の対等なパートナーシップを学ぶ講演会や、いわゆるデートDVをテーマに都民向けの配偶者暴力防止講習会を開催しています。また、当事者に接する機会の多い医療・福祉・教育等の職務関係者を対象としたデートDVに関する研修会も実施しています。
今後とも、若年層に対する配偶者暴力の未然防止に取り組んでいきます。
平成17年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 学校における小動物の飼育について
二 都立霊園のあり方について
三 調布飛行場の管理運営形態変更の見直しについて
一 学校における小動物の飼育について
今、子殺しや幼児虐待のニュースが絶えない中、法務省は11月8日、少年非行を特集した2005年版犯罪白書を公表したが、その中で少年非行の深刻な状況が続いていることを、刑事政策上の最重要課題の一つと指摘している。
刑法犯で検挙・補導される少年の、(全少年人口に占める)比率は上昇傾向にあり、しかも手口が凶悪で罪悪感もなく、何が動機なのか理解しがたいような少年事件も後を絶たない。
先頃の、タリウムを使って母親を殺害しようとした少女、板橋の高校生による社員寮両親殺害事件、また、町田市の高校1年生が同級生を30分も追い回して50カ所もさして殺した事件などは想像を絶するものがある。恐ろしいことに、この子達の共通点は、事件を起こした後で改悛の情を示さないことである。また、冒頭の犯罪白書では、少年院の経験がある教官たちは「最近増大している少年の問題は、「思いやりや人の痛みへの理解力・創造力に欠ける」(63%)「対人関係を円滑に結べない」(58%)「感情をコントロールできない」(55%)などを挙げている。
この結果、改正少年法が施行された2001年4月から2004年末までに、故意の犯罪行為で人を死亡させたとして家裁送致された16歳以上の少年のうち、重大事件として、検察庁に逆送されたのは61%になり、その内57%が殺人、55%が傷害致死である。この逆送率は法改正前5年間の平均(24%)と比べ大幅に増えている。まさに憂慮すべき時だと言える。
この「思いやりや人の痛みへの理解力・想像力に欠ける」、「対人関係を円滑に結べない」、「感情をコントロールできない」、そして殺しても改悛の情を示さないと言うことを改善するためには、道徳などの言葉による授業では限界がある。この対策には、幼稚園・小学校の人格形成に重要な時期に、命の大切さ、相手への思いやり、優しさなどを体験を通して培い、人間の土台を創ることが必要だと言われている。また最近、このような問題を起こすような青少年は、それを感じる脳神経を幼少時期に養うことが出来なかったのではないか、つまり脳神経が欠損している、と脳科学者は推測している。
実は、従来はこのような脳神経は、親の愛情のもとで自然や動物との交流を持つことで養うことができていた。特に抱くことができ、また目を見つめあうことができて情を沸かせ、心を通わすことができる小動物を大事に飼うことで、子どもたちは弱いものを愛して庇うことを覚えてきた。つまり、言葉を持たない動物をかわいがる人は常に動物の気持ちを、動物のしぐさや目の色で読み取る努力をしている。それで自然に人の気持ちも思いやれるようになる、共感する心である。また、世話が面倒で嫌だと思うときでも、動物に愛情がわいていれば、汚れたところでお腹をすかせる動物を放って置けずに頑張って世話をするようになる。このことは、将来の子育ての疑似体験にもなる。また、感情をコントロールしながら、我慢しながら汚れた仕事も進んで行い、その結果、「きれいになったところで、喜んで餌を食べる様子に喜びを感じる」など、責任感や勤勉性を養うことにもつながる。今、ニートが騒がれているが、勤勉性は小学校中学年頃に培われると言われている。
このような、子供の成長に有用と思われる動物飼育体験は、現在は家庭でのそれが難しいということになってきている。たとえば、西東京市と小平市の12校での調査では、家庭で何の動物も飼っていない子供は『53%』と一番多く、そして次に多いのは、抱けない魚を飼っている子が『19%』、犬や猫を飼っているのが『16%』である。実に貧弱な飼育体験と言わざるを得ない。それで昨今のように、電子ペットのタマゴッチや、ムシキングなどが爆発的に流行り、子供たちの本能的な飼育欲求を慰めているのである。しかし、これらには生命の躍動がないので、生命体験にはならない。動物を好きという子は多いが、実際には抱いた経験を持たないまま大人になる子は多く、生きたウサギを抱いた後に初めて動物を実感したとか、「動物は何で出来ているの?どうして動くの?」という生徒も度々見られるとの報告もある。まさに実態をともなわない知識と、現実の行動の乖離である。佐世保の事件では、殺した相手に「悪いことをした。(殺した相手に)会ったら誤りたい」と言っているが、道徳の勉強で知識として謝罪の言葉をのべているのであって、実際には、命も思いやりも感じることが出来ないと言わざるをえない。恐ろしいことである。
そこで、学校教育の中で動物体験をさせることを提案したい。子どもたちの心の教育・生命尊重の教育、また人も動物であり、動物を知ることは人への理解につながる。生物など科学教育などを、子どもたちが体得できるように、学習指導要領(平成4年完全実施)にも、「学校での動物飼育」が明記されている。しかし、昨今の鳥インフルエンザ騒ぎなど、世話の手間を敬遠して、学校では動物をよそに出したり、あるいは世話不足で餓死させたり、との話しも聞かれ、実際にはどの程度の学校で飼育されているのか、また心の教育は何で行っているか、などについて、実態を把握する必要があると思われる。
人格形成時期に、子供たちに命を理解させ、愛情や他への共感を養うことが急務になっている。犯罪を起こす時に相手の気持ちに立つことができれば、確実に犯罪が減少するであろう。学習指導要領でも「心の教育」として動物飼育を奨励している。
そこで質問をします。
1 動物飼育を活用した心の健康教育の実施状況を把握し、推進していく必要があると考えるがどうか。
2 児童・生徒に、自他の生命を尊重する心を育むには、学校における動物飼育が大きな役割を果たす。誕生から死別まで、動物はその温もりを通して子供たちに「生命」を実感させ、思いやりや慈しみの心を育ててくれる。校長や副校長などの管理職なども含め、教職員は動物飼育がもたらす教育効果や意義を十分理解し、適正な飼育が行われるよう、研修をするべきと考えるが、教職員の動物飼育に関する研修はどのように行われているか伺う。
3 学校における飼育動物の管理の徹底や、指導の充実を図るためには、専門的な知識や技能を有する獣医師などとの連携が必要と考える。一方、獣医師が学校に対し、丁寧に対応するためには、指導主事など学校教育の専門家が獣医師の研修会に協力するなど、双方向の連携が必要と考えるが、都教育委員会はどのように連携をしているのか伺う。
二 都立霊園のあり方について
都民の墓地需要は高いものがあるが、一方で核家族化や少子化の進展に伴い、家族の形態さらには墓地に対する都民の意識は多様化している。
霊園行政を取り巻く環境が著しく変化する中、既存霊園を活用して納骨堂方式や合葬式の墓地をいち早く供給するなど、都は先駆的な役割を果たしてきている。
このように、新たな墓地ニーズを先取りする一方、区部にあり長い歴史を持つ都立霊園について、墓地使用者だけでなく、広く都民が利用できる空間として再生しようという霊園再生の施策は、都立霊園を公共の施設として見直し、さらに積極的に都民に開放するという点で、成熟した都市東京にとって相応しいものである。
区部の4箇所の都立霊園は、いずれも明治7年に開設されたもので、江戸から明治にかけて政治、文化、芸術などの分野で活躍し、まさに歴史に名を残した方の墓も多く見られる。
私は、霊園は単に死者を祀るだけの施設ではなく、先人に思いを馳せ、その時代を身近に感じるとともに、今の東京へと連なる近代史を再確認する意味でも、貴重な空間であると考えている。
都心にあり、緑に囲まれた落ち着いたたたずまいの中、歴史的にも著名な方の墓地が集まる区内の都立霊園は、東京ならではの観光資源として他にない魅力的なものである。
区部霊園の再生事業の中で、そうした観光という視点を積極的に取り入れるべきという立場から伺う。
1 まず、再生事業が先行している青山霊園では、緑も多く著名人の墓地、外人墓地もある。このような資源について、再生事業では観光という視点から具体的にどのような取り組みをしているのか。
また、なるべく多くの著名人の墓地を広く来園者に紹介することが良いと考えるが、一方、個人情報保護との関係に留意する必要がある。青山霊園では、この点をどのように整理しているのか。
2 谷中霊園について伺う。本年5月、青山霊園に引き続き、再生整備を進めていくよう、公園審議会からの答申が出た。
谷中霊園には、下町ゆかりの著名人の墓地が多くあり、たとえば著名人の墓めぐりの案内をする地元ボランティアを育成するなど、観光面でも地域との連携が期待できる霊園である。
地域に根ざした観光の拠点として、早急に再生事業を開始すべきと考えるが、答申後の取組状況はどうなっているのか。
三 調布飛行場の管理運営形態変更の見直しについて
調布飛行場は、飛行場の周辺が市街地という特性や、騒音などの問題もあることから、都が国から調布場外離着陸場の管理業務を引き継ぐ平成4年に引き続き、都営コミューター空港として正式飛行場化した。そして、平成13年に都と三鷹・調布・府中の地元三市との間で受け入れのための協定を結び、「2万3千回を上限として、さらに削減に努めること」とする離着陸回数の制限や「飛行場の利用時間は日没までとする」・「自家用機は積極的に分散移転させること」とする飛行場機能の制限など、27項目の厳しい制約条件の下に使用を許されている飛行場である。
今回、国土交通省から都に対して、平成18年3月末をもって調布飛行場の完成業務廃止をし、管制官を撤退させるとの通知が出されているが、管制官は離発着機の安全が保たれているかを判断するなど、安全運航の要をなす重要な役割を担っている。
都は、管制業務の代わりに平成18年4月より、情報提供業務(フライトサービス)を行い航空交通の安全を確保するとしているが、横田・立川・入間などの調布飛行場の周辺の飛行場の位置関係に見られる通り、調布や田無などの上空は多くの航空機が飛んでいるうえ、フライトサービスになることで、調布飛行場への離着陸が今までよりスムーズにいかなくなり、離着陸の順番待ちとなるホールド(空中待機)が同一高度上に頻繁に起きるなど、非常に危険な状態が生じる可能性が強いと懸念されている。これは調布飛行場周辺の住民の安全性を損ねるだけでなく、パイロットなど調布飛行場の利用者の安全性も低下させることになる。
国民の生活の安全確保が求められている今、市民や利用者の安全性を損なう管制業務の廃止を易々と認めるわけにはいかない。是非再考願いたい。
そこで質問します。
1 調布飛行場と広島西空港・岡南空港の飛行可能1時間あたりの離着陸回数(密度)はどのようになっているか。
2 広島西空港・岡南空港の離着陸回数には、いわゆるタッチアンドゴーが含まれているのか。
3 調布飛行場上空を通過する飛行機数はどの程度か。
4 情報提供業務になると、管制官が存置している場合に比して、飛行機の上空待機が多くなると考えるがどうか。
5 国に対し、もう一年程度管制官撤退を延期するように要請すべきであるがどうか。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 学校における小動物の飼育について
1 動物飼育を活用した心の健康教育の実施状況を把握し、推進していく必要があるが、所見を伺う。
回答
動物に優しい心で接することにより、人に対する思いやりの心をはぐくむなど、動物とのふれあい体験を実施していくことは、意義あることと認識しています。
学校における健康づくり活動に関する調査の中で、取組状況を把握していきます。
質問事項
一の2 管理職も含め、教職員は動物飼育がもたらす教育効果や意義を十分理解し、適正な飼育が行われるよう、研修すべきである。教職員の動物飼育に関する研修はどのように行われているか伺う。
回答
子どもたちに、生命尊重の態度を養うことは重要な課題であり、動物飼育が果たす教育的な役割は大きいと考えます。そのため、教員には、動物飼育の意義や、適正な管理について正しい知識と深い理解を持つことが求められます。
都教育委員会は、平成15年度から教職員研修センターにおいて、動物飼育の教育的意義や、具体的な教育活動への活用法、また、適正な飼育方法等に関する研修を実施しています。
今後とも、学校における動物飼育に関する研修を、管理職も含めた広範な教職員を対象に実施するなど、充実に努めていきます。
質問事項
一の3 学校での飼育動物の管理の徹底などを図るには、獣医師などとの連携が必要である。指導主事などが獣医師の研修会に協力するなど双方向の連携が必要だが、都教委はどう連携しているのか伺う。
回答
生命尊重や思いやりの心の育成など飼育活動を通した教育の推進や学校飼育動物の管理に当たっては、専門的な知識・技能を有する獣医師等と連携することが効果的であると考えます。
都教育委員会では、獣医師等を動物飼育に関する研修会の講師として招へいしたり、全国学校飼育動物研究大会に指導主事を派遣したりするなど、双方向の連携に努めています。
今後とも、こうした連携を図りながら、学校における飼育動物の適正な管理や、指導の充実に取り組んでいきます。
質問事項
二 都立霊園のあり方について
1 青山霊園には、緑も多く著名人の墓地など観光資源があるが、再生事業では観光の視点からどう取り組んでいるのか。また、個人情報保護との関係をどう整理しているのか伺う。
回答
青山霊園再生に当たっては、巨樹などを生かした広場や歩きやすい園路を整備するほか、外人墓地の歴史的な空間としての保存や著名人墓所を紹介する探訪コースの設定など、観光に資する取組を進めていきます。
青山霊園の著名人墓所の紹介については、従来、著名人とされていた方々を精査し、その中で、同意していただいた方をパンフレット等に掲載するなど、個人情報保護に配慮しながら霊園資源の活用を図っていきます。
質問事項
二の2 谷中霊園は、下町ゆかりの著名人の墓地が多い。墓めぐり案内の地元ボランティア育成など、地域に根ざした観光の拠点として、早急に再生事業を開始すべきだが、公園審議会答申後の取組状況を伺う。
回答
谷中霊園は、明治維新を契機に開設された霊園であり、歴史の証人として、昔と変わらない佇まいを残し、人々に親しまれてきました。
公園審議会の答申においては、長い霊園の歴史に守られてきた緑の中で、東京の先人たちとその時代に思いをはせることができる場所として、また、地域と一体となってまちの魅力を作り出す空間として再生に取り組むべきとしています。
谷中霊園の再生については、現在、地元自治体及び住民の方々と検討会を設置し、意見交換を行っており、その内容を踏まえ、著名人墓所など霊園の資源を最大限生かした再生計画を早期に策定していきます。
質問事項
三 調布飛行場の管理運営形態変更の見直しについて
1 調布飛行場と広島西空港・岡南空港の飛行可能1時間あたりの離着陸回数(密度)はどのようになっているか伺う。
回答
着陸回数は、平成15年比較で、調布飛行場8,887回、広島西飛行場6,578回、岡南飛行場4,358回となっています。
また、各々の飛行場における管理に関する条例及び同施行規則上の運用時間は、
・調布飛行場については、平日は午前8時30分から午後5時まで、日祭日は午前10時から午後5時まで、4月1日から8月31日まで(航空運送事業のための飛行に限る)は午前8時30分から午後6時まで、但し運用時間の終期より日没が早い場合は日没までとする。
・広島西飛行場については、午前7時30分から午後9時30分まで
・岡南飛行場については、午前8時30分から午後6時30分まで
となっていますが、天候等により飛行場の使用ができない時間を踏まえた実際の運用時間を年間通じて集計していないため、各飛行場とも時間当たりの離着陸回数を正確に把握することが難しい状況にあります。
なお、調布飛行場と両飛行場とでは、飛行方式(IFR:計器飛行方式、VFR:有視界飛行方式)や就航機材等も異なり、離着陸回数だけでは管理運営形態を比較することはできないと考えます。
質問事項
三の2 広島西空港・岡南空港の離着陸回数には、いわゆるタッチアンドゴーが含まれているのか伺う。
回答
広島西飛行場と岡南飛行場については、両飛行場とも、調布飛行場において実施していない、滑走路に接地し、すぐまた上昇する離着陸訓練である、いわゆるタッチアンドゴーが着陸回数に含まれています。
なお、岡南飛行場では都営空港では認めていない訓練飛行(タッチアンドゴーを含む)が離着陸回数の約40パーセントを占めています。
質問事項
三の3 調布飛行場上空を通過する飛行機数はどの程度か伺う。
回答
調布飛行場上空を通過する飛行機を把握することは難しい状況にあります。
質問事項
三の4 情報提供業務になると、管制官が存置している場合に比して、飛行機の上空待機が多くなると考えるが、所見を伺う。
回答
国(航空局)の見解によると、管制官の有無と上空待機の増減とは関係ないとされています。
また、調布飛行場を利用する航空機は、パイロットの責任で他の航空機や地表との間隔を設定する有視界飛行方式によるものであり、かつ、上空待機は交通量に関係するものであることから、管制業務と情報提供業務(航空機に対し、円滑な離着陸に必要となる、滑走路の離着陸方向、飛行場周辺における他の航空機の有無、気象情報等、管制官が航空機に提供する情報と同レベルの情報を提供する業務)の違いによる上空待機の増加は無いと聞いています。
質問事項
三の5 国に対し、もう1年程度管制官撤退を延期するように要請すべきだが、所見を伺う。
回答
国から、再三にわたり、調布飛行場からの航空管制官撤退の申入れがなされてきましたが、現在、航空管制官を置いているのは、成田・羽田などの主要空港のみであり、調布飛行場のようなコミューター空港で航空管制官を置いているところはないとして、今回の国の撤退申入れは強いものがあります。こうした状況のもと、国においては撤退を前提とした平成18年度予算案が昨年12月末に内示されています。
なお、都においては情報提供業務の実施に当たり、現行の管制業務と同等に航空交通の安全性確保を図っていきます
平成17年第三回都議会定例会
文書質問趣意書
質問事項
一 船舶からの排出ガスと東京港の国際競争力強化について
1 東京湾で測定されるNOxの1割が船舶に由来するものといわれている。
近年の港湾地域における都市開発によって、人の住む地域と船舶が停泊する地域とが近づいている。また、都市排熱によるヒートアイランド現象の緩和の観点からも、都心から内陸部へ海風を取り込む風の道を創出していくことが必要だが、風の道ができればその海風に乗って大気汚染物質が内陸に運ばれることになり、船舶から排出される大気汚染物質削減は、港湾周辺だけの問題ではない。そこで、東京港における船舶排出ガスに含まれる大気汚染物質について伺う。
東京港における船舶排出ガス量はどのようになっているのか。
2 ロンドン条約・マルポール条約および両条約議定書の内容を踏まえ、海防法等関連法規が改正された。本年5月19日より、船舶からの大気汚染を防止するための新たな規制が始まっている。その内容は、NOx、SOx、VOCs及びオゾン層破壊物質の放出、廃棄物等の船上焼却、使用される燃料油の品質等に関する規制を行うものである。しかし、主要な規制の対象が新しい船のみとされていること、検査対象を400トン以上の船舶としていることなど、環境の視点から見ると国の規制に不十分の感は否めない。
ア 先にも述べたとおり、船舶のディーゼルエンジンが排出するガスは、周辺の大気に加えて、都内の大気をも汚染している。例えば硫黄酸化物について船舶ディーゼル排出ガスは、ディーゼル車排出ガスと比べてどうなのか。
イ 規制は東京港を利用するすべての船舶を対象とすべきだが、国の規制の対象となる船舶、また検査対象となる船舶は東京港を利用する船舶のうちどの程度を占めるのか。
ウ 国の規制は不十分であり東京都独自にでもより厳しくすべきと考えるが、どのように取り組むのか。
3 一方で、大気汚染物質を削減するためには、EIAPP証書の交付を受けたエンジンの搭載、品質基準に適合した燃料油の使用などが必要となり船舶側に経済的負担が生じる。従来から、東京港はリードタイムが韓国の倍以上、港湾コストの高さなど、国際競争力の低さが指摘されてきた。大気汚染物質や温室効果ガス削減の取り組みは積極的に行うべきだが、港湾としての力が低下することも懸念される。環境への取り組みと同時にさらなる効率化とコストダウンに取り組み、東京港の競争力を強化していくことが必要とされている。
ア 港湾コストの低減やサービスの向上にどのように取り組むのか。
イ 首都圏の物流拠点として横浜港とも連携した効率化にどう取り組むのか。
石毛しげる議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 船舶からの排出ガスと東京港の国際競争力強化について
1 風の道により海風を内陸部に取り込むなど、船舶から排出される大気汚染物質削減は、港湾周辺だけの問題ではない。東京港における船舶排出ガス量はどのようになっているか伺う。
回答
東京都が平成16年度に調査した結果、東京港に停泊した船舶から排出される大気汚染物質は、一年間に窒素酸化物が2,086トン、硫黄酸化物が1,898トン、ばいじんが145トン排出されているものと推計しています。
質問事項
一の2 船舶からの大気汚染を防止する新たな規制について
ア 本年より、船舶からの大気汚染防止のため新たな規制が始まっている。例えば硫黄酸化物について、船舶ディーゼル排出ガスはディーゼル車排出ガスと比べてどうなのか伺う。
回答
ディーゼル車に使用されている軽油中に含まれる硫黄分は約10ppmです。
船舶に使用されるC重油には29,000ppmの硫黄分を含むものがあり、同じ量の燃料を使用した場合、船舶からはディーゼル車の約3,000倍にあたる硫黄酸化物が排出されることになります。
質問事項
一の2のイ 規制は、東京港を利用するすべての船舶を対象とすべきである。国の規制対象となる船舶、また検査対象となる船舶は、東京港を利用する船舶のうちどの程度を占めるのか伺う。
回答
国の規制対象となる船舶のうち、窒素酸化物については規制対象が限られています。昨年度に実施した調査によると、この規制に該当するものは内航船ではありませんでした。また、外航船については不定期に入港する船舶などがあるため、規制及び検査対象の実数が把握されていません。
質問事項
一の2のウ 規制対象が新しい船のみとされていること、検査対象を400トン以上の船舶としていることなど、国の規制は不十分であり、都独自にでもより厳しくすべきだが、どう取り組むのか伺う。
回答
都では、平成16年度に学識経験者及び業界代表による「船舶等による大気汚染対策検討委員会」を設けて、船舶停泊時の排ガス対策についての検討を行い、報告書として取りまとめました。
今後は、この報告書に基づき、良質燃料への転換など具体的な排ガス対策に事業者が取り組むよう促していきます。
質問事項
一の3 東京港の国際競争力強化について
ア 環境への取組と同時に、さらなる効率化とコストダウンに取り組み、東京港の競争力を強化していくことが必要である。港湾コストの低減やサービス向上にどう取り組むのか伺う。
回答
東京港の国際競争力強化に向け、アジア主要港にごするサービス水準を確保し、国際基幹航路が寄港するメインポートの地位を堅持していくためには、港湾コストの低減や港湾通過時間の短縮等を進めていくことが重要です。
そのため、東京港では、港湾の官民の関係者で組織する「東京港振興促進協議会」において、「新アクションプラン」を策定し、官民が一体となって、サービス水準の向上に向けた戦略的な行動計画の実現に取り組むとともに、日本を代表し国際競争力ある主要港湾を育成しようとする国家的プロジェクトであるスーパー中枢港湾の指定を契機にサービスアップ、コストダウンなど港湾物流の効率化の取組を進めています。
具体的には、港湾施設の共同利用の推進による効率化や貨物取扱量の増加による物流コストの低減、構造改革特区提案による税関等の行政機関の土日開庁等による港湾通過時間の短縮などの取組を行っています。
今後とも、港湾関係者の理解と協力を得ながら、東京港の国際競争力の強化と使いやすい港づくりに努めていきます。
質問事項
一の3のイ 首都圏の物流拠点として、横浜港とも連携した効率化にどう取り組むのか伺う。
回答
東京港が首都圏全体の生活と産業を支えていくためには、横浜港や川崎港との連携を進めながら国際競争力を強化していくことが重要です。
そのため東京港は、横浜港、川崎港とともに、平成16年4月に「京浜3港広域連携協議会」を設置し、物流ネットワークの強化などについて、共同の取組を進めています。
具体的には、3港間でのコンテナ輸送、いわゆる横持ち輸送の効率化を推進するための共同輸送のトライアルを実施するとともに、3港間及び背後圏をつなぐ幹線道路網の整備促進や水先料金の低減化等に関する国への共同提案等を行っています。
今後も、共通の仕組みによる対応が有効な事項について連携して取り組んでいきます。